第12章 雇用·人材支援
労働力の確保に積極的に取り組む中小企業を支援するとともに、ベンチ ヤー企 や新分野進出等を目指す中小企業が行う人材の確保・育成、魅力ある職場づくりの活動を支援する。

☆1.労働対策
>1· 労働力確保
(1)中小企業労働力確保法
労働力の確保のために中小企業が行う労働時間の短縮、職場環境の改善や福利 厚生制度の充実など雇用管理の改善を行い労働力の確保を行おうとする中小企業 者を支援する法律である。 この法律に基づき、労働時間の短縮や職場環境の改善等の取り組みを促進する ための助成金、低利融資などの支援措置がとられている。

①改善計画の作成主体
ア)組合等(企業組合、協業組合、事業協同組合、商工組合等)
イ)個別の中小企業者

②改善計画の認定手続き
1)経済産業大臣と厚生労働大臣が「基本指針」を制定
2)「基本指針」に基づき、組合等および個別中小企業者が改善計画を作成
3)都道府県窓口担当者へ改善計画認定申請書を提出
4)都道府県知事が認定 受 業


(2)中小企業へのさまざまな支援制度
[よい人材の確保]

①中小企業基盤人材確保助成金 独立行政法人雇用・能力開発機構
都道府県知事から改善計画の認定を受けた個別中小企業者が、当該改善計画に い、新分野進出等(創業、異業種進出)に伴い新たに経営基盤の強化に資する 労働者(新分野進出等基盤人材)を雇い入れた場合、または生産性を向上させる ための基盤となる人材(生産性向上基盤人材)を新たに雇い入れ又は大企業等か ら受け入れた場合、これらの基盤人材の賃金相当額として一定額が助成される。

ア)新分野進出等に係る中小企業基盤人材確保助成金
都道府県知事から改善計画の認定を受けた個別中小企業者が、当該計画に基づ く新分野進出等(創業·異業種進出)に伴い新たに経営基盤の強化に資する労働 者(新分野進出等基盤人材)を新たに雇い入れた場合に、雇い入れた新分野進出 等基盤人材の1年間の賃金の一部に相当する額として、1人あたり140万円を助 成される。ただし、1企業あたり5人が限度である。

※新分野進出等基盤人材
認定計画上に、申請事業主において経営基盤の強化に資する人材として記載 された者であって、新分野進出等に係る新たな事業における業務に就く者であ ( り、次のa), b)のいずれにも該当する人材。

a)次のいずれかに該当するもの
・事務的,技術的な業務の企画·立案、指導を行うことができる専門的な知識 や技術を有する者。
・部下を指揮・監督する業務に従事する係長相当職以上の者。

b)申請事業主において、年収350万円以上(臨時給与、特別給与等臨時に支払われた賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く)の賃金で雇 い入れられる者。


イ)生産性向上に係る中小企業基盤人材確保助成金
都道府県知事から改善計画の認定を受けた個別中小企業者が、当該計画に 基づ く生産性の向上に必要な労働者として当該認定中小企業者の経営基盤 の強化 資する労働者(以下「生産性向上基盤人材※」という。)を新たに雇い入れた又 は受け入れた場合に、生産性向上基盤人材の1年間の賃金の一部に相当する額と して、1人あたり170万円が助成される。ただし、1企業あたり5人が限度である。

 ※生産性向上基盤人材
認定計画上に、申請事業主において生産性向上に資する人材として記載さ れた者であって、生産性向上に係る業務に就く者であり、次のa), b)いずれ にも該当するもの

a)次のいずれかに該当するもの
・生産性向上に係る業務の企画·立案、指導を行うことができる高度な専門 的知識や技術や経験を有する者。
・部下を指揮・監督する生産性向上に係る業務に従事する課長相当職以上の者。
 
b)申請事業主において、年収450万円以上(臨時給与、特別給与等臨時に 支払われた賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く)の 賃金で雇い入れられる又は他の企業等から年450万円以上の賃金等で受け 入れられる者(出向等による受け入れにおいて、生産性向上基盤人材に対 し元事業所が賃金等について補助を行っている場合は、申請事業主が生産 性向上基盤人材に実際に支払っている賃金等が450万円以上であること)。


[従業員を守る]
 ②雇用調整助成金
景気の変動等に伴い事業活動の縮小を余儀なくされて、休業、教育訓練、または 出向を行うことにより、労働者の雇用維持を図る事業主は、休業手当、賃金等に相 当する額の一部について助成を受けられる。なお、助成率は、かかった費用の2/ 3である(障害のある人の休業等および出向の場合の助成率は3.4、解雇等を行 っていない場合の助成率は3/4に上乗せされる) 。

③中小企業緊急雇用安定助成金 都道府県労働局、ハローワーク
中小企業事業主向けに雇用調整助成金の助成内容等を拡充した制度である。助成率は、かかった費用の4/5である(障害のある人の休業等および出向の場合の助成率は9/10、解雇等を行っていない場合の助成率は9/10に上乗せされる) 。


>2. 中小企業退職金共済制度
中小企業退職金共済制度は、中小企業退職金共済法に基づき設けられた中小企業独力では困難な退職金制度の整備を支援する制度である。
中小企業者が独立行政法人勤労者退職金共済機構と従業員ごとに退職金共済契約をむすび、毎月一定額の掛け金を納付すると、従業員が退職 したときに所定の退職金が従業員へ直接支払われる。
また、掛け金は事業主の損金または必要経費とされ、退職金は退職所得として課 税される。

※中小企業退職金共済制度への助成措置
ア)新しく本制度に加入する事業主に掛金(5,000円から30,000円までの16 種類)の1/2 (従業員ごと上限5,000円)を加入後4カ月目から1年間、 国が助成を行う。
パート等短時間労働者の特例掛金2,000円、3,000円、4,000円には掛金の 1/2の額にそれぞれ300円、400円、500円が上乗せされる。

イ)18,000円以下の掛金月額を増額する事業主に増額分の1/3を増額月か ら1年間、国が助成を行う。