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章2 鉱業技術に関する基礎的知識
<本章の目的と出題傾向>
業診断士試験の旧制度(工鉱業部門)において、「工鉱業技 中小企 業診断士 この章の内容は、中 基礎的知識」という独立した科目と という独立した科目として問われていたものである の章の 間する基礎的s1次試験案内によると、科目内容として、材料(金属材料、粒 に関する 術に 、企業診断士 中小企業診断士第1次 合材料)、製造 加工技術と設備,機械(加工技術(切削、研削加工、塑性 加工、特殊加工. 属材料: NO.,熱処理、化学処理、その他の加工技術)、工作機械(工作機械一般、 ボット、その他)、 主な製品の製造技術)、新技術(IT、バイ オテクノロジー、ナノテクノ クノロジー)と、かなりの広範囲な分野であり、

専門的な知 識レベルを要求する出題も見られる レベル出顥傾向としては、材料、製造·加工技術と設備·機械、新技術の各分野か 方、出題傾向と ら分散して出題され 、て出題されており、広範囲かつ専門的な領域であるため、まずは用語と特徴 の概要を把握していただければよいところである。 「工鉱業技術知識」の全体像 材料 鋳造 非除去加工 塑性加工 溶接 切削加工 加工技術!除去加工 (研削加工 精密加工 放電加工 その他 レーザ加工 鉱業技術知識 電子ビーム加工 ボール盤 フライス盤 平削り盤 工作機械 |形削り盤 研削盤 プレス機 NC工作機械 マシニングセンタ -173-

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§1.材料
章餅 材料は、鉄鋼、ステンレス、アルミニウムのような金属材料と、 プラスチックのような 非金属材料に大別される。金属材料は鉄鋼材料と非鉄金属材 料に分けられ、さらに非金属材料は無機材料と有機材料に分けられる。

1、金属材料 金属材料には、鉄鋼材料と非鉄金属材料がある。

 (1)鉄鋼材料
 鉄鋼材料は、C(炭素)の含有量が少ないものから多いものへと順に、純鉄、鋼、 鋳鉄と分けられ、鋼に他の元素を添加した合金鋼や特殊鋼も重要である0

 名称 説明
①炭素 鋼| C 1.7%以下の鋼。C含有量で、極軟鋼(用途の一例:薄板、ビョウ)、軟 鋼(形鋼、鋼管)、半軟鋼(リベット、骨材)、半硬鋼(シャフト、ボルト) 硬鋼(レール、スコップ)、最硬鋼(工具、バネ材)、高炭素鋼(バネ材、工 具)、工具鋼(工具)と分類されている. C量の増加につれて、引張り強さ は増大するが、延性(伸びやすさ)は低下する。多くの炭素鋼は工業材料 として多量に使用されている
②鋳 鉄| C 1.7~6.88%を含む鉄の合金。ねずみ鋳鉄と白鋳鉄に分けられる。鋳鉄 は、鋳造性が良く、耐磨耗性に強く、切削性が良く、安価だが、衝撃性 が低く、塑性変形性が乏しい、溶接性に劣る、等の使いにくさもある。
③合金 鋼|合金鋼は炭素鋼に様々な元素を添加させ、図表1の種類と特徴がある。
 ④ 特殊用途鋼1ばね鋼(SUP)、快削鋼(SUM)、ステンレス鋼(SUS)
●ステンレス鋼|ステンレス鋼はさびない鋼という意味で名付けられたが、条件によって はさびることもあり、さびにくいというのが正確である0 ステンレス鋼には、SUS 200番台、300番台、400番台、600番台と数 多くある。食品工場、化学工場、台所用品等、高耐食性を要する用途に 広く使用されている。 -174-

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図表1 合金鋼に対する合金成分の特徴
元素名 |記号| 特性 ニッケル Ni |強度,じん性を高める。
また添加量が多いと耐熱性も向上する。Cr との高合金鋼は耐熱·耐食性を向上させる(ステンレス鋼) ,高価で ある。
クロム Cr | Niと同様の効果を有し、とくに多量添加すると耐食,耐熱性を向上 させる(ステンレス鋼).
モリブデン Mo-じん性と高温強度を高め、重要な合金元素であるが高価である
バナジウム V ! Moと同様な効果がある。とくに炭化物として析出し、効果を高める。 他元素との複合添加が多い
タングステン |W |高温強度を高める。炭化物として析出して硬度,耐磨耗性を向上さ せるので、工具鋼用として重要
コバルト Co | Niに近い特性を有し、他元素との複合添加を行う。
アルミニウム | Al |結晶粒の微細化によるじん性の向上と、表面硬化用鋼、微量添加で 耐候性鋼などに使用される
 チタン | Ti | Alに近い効果と、表面硬化,耐食性向上用など。
ニオブ Nb | Al、Tiとほぼ同様である。 Cul大気中や海水中でも耐食性を向上させるので、耐候性鋼用合金元素 として重要である。
 ホウ素 B |微量で焼入硬化性を著しく高め、強度を向上させる。 合金鋼は、低合金鋼と高合金鋼の大きく2種類に分かれる。 *低合金鋼(low alloy steel) :一般に合金元素量が合計で数%以下の材料をいう。 *高合金鋼(high alloy steel) :添加元素の合計が約10%以上の材料で、工具鋼、耐食鋼, 耐熱鋼などの特殊鋼をさす。 出典:冨士明良「工業材料入門」山海堂,P62 -175-

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(2)非鉄金属材料
非鉄金属材料の主なものに、銅(Cu)、アルミニウム(A 1 )、チタン(T i )お よびその合金とマグネシウム(Mg)合金が挙げられる。 種類 説明 電気をよく通し、熱の良導体でもある。延性に優れ、ハンダ付けが容易 銅 あることなど優れた特性を持つ。用途は、銅線や電気器具などに広く用い られている。銅合金には、黄銅(Cu-Zn系合金:しんちゅう)、青銅(C u-s n)、白銅(C u-Ni )などがある。
 ②アルミニウム 軽量で耐食性が良くー熱および電気の伝導性 が高く、加工性が良い。一方、 引張り強さは低く、熱膨張率が大きく、熱加工時に変形しやすい欠点も る。食器類や容器、合金材料として使われる6 Al-Cu-Mg合金である ジュラルミン、MA1とA1合金を複合したアルクラッドが有名である ③マグネシウム| アルカリ土類金属であり、活性が強く、純マグネシウム金属としては使わ いない0 A 1との合金であるMg合金ダイキャストはスポーツ用品、 自動車部品、電装品、カメラケースなどに使われている ン 表面に不動態の酸化皮膜を形成し、耐食性が生じ、多くの環境で使用でき ④チタ る。軽くて優れた耐食性あり、美観も優れている。一方、製造や加工にコ ストがかかり、高価である)眼鏡、時計、ゴルフ用品からカ性ソーダ工場, 船舶部品、屋根材と用途も広がりつつある A 1-V系のチタン合金は強度 が高く、宇宙,航空機部品、車のエンジン部品、ゴルフ用品などに使われ だしてきた

 p2, 無機材料
(1)ガラス ガラスは、高温で溶融し、熱間で成形して製品になるものが多いが、溶融過程 でかなり多くの成分を広い範囲で溶かしこむことができる。このため形状や外観 が同じでも、メーカーが異なると組成が若干異なる製品群もある。
種類
①ソーダライムガラス シ リカ、ソーダ、ライムが主成分。代表的ガラス
②ホウ珪酸ガラス ホウ酸、珪酸系のガラス耐熱性が高く耐熱食器等に利用。
③鉛ガラス 酸化鉛が主成分。良い加工性、光沢から工芸用ガラスに利用。
④結晶化ガラス |特殊組成のガラスを結晶化。機械的にも熱的にも強い その他、ゾルーゲル法という高温で溶融せずに化学的に製造されるものは、コ -ティング材料として開発されている。 176 明

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(2)セメント、コンクリート 種類
意味.特徴
①ポルトランドセメント セメント |シリカ、カルシア、アルミナ、鉄酸化物を主要組成とする物質。 水分と反応(水和反応)し、硬化する。主に砂利や砂、水と混練 してコンクリートとして使われる。
 ②高炉セメント 製鉄の高炉で副製するスラグを①等に混ぜたもの。

③フラ イアッシュセメント!各種の燃焼炉から副製される灰(フライアッシュ)を再利用した セメント 不足成分を付け加えて作3.

④シリカセメント ①にシリカを混合したもの。水和熱(水和反応時の発熱)が低い のが特徴。
 ⑤アルミナセメント 速硬性のセメントでアルミナ分が多い。特に急を要する工事で 使われる
 ⑥コンクリート セメントに砂利、砂を混ぜ水で混練して作る6内部に鉄筋を入 れた鉄筋コンクリートは各種の構造物(ビル、道路、ダム、鉄橋 の支柱など)になっている。

(3)陶磁器
種類 説明
①土器1比較的低い温度で焼成したもので、耐火度の低いレンガ(装飾、建材用)、楽焼. 土管などにその製品を見る。
②陶器|アルミナ分も土器より多く、原料も厳選して、やや高い温度で焼成したものであ る。タイルや衛生陶器、装飾品、日用食器などに多く使われている。内部は吸水 性があるため釉薬を施してあるものが一般である
③せっ器|陶器と磁器との中間的な性格 耐酸ピンや土管に等に使われる。 ④磁器|高温で焼成しており、内部はかなりガラス化している。したがって吸水性がなく 施釉しなくとも水分が入り込むことはない碍子などの絶縁材や、タイル、高級 食器などの製品がある。 その他|アルミナ磁器、ムライト磁器、フェライト磁器、ジルコン磁器等々。

(4)耐火物
各種の窯炉,工業用炉の主要な構成要素に耐火物がある。耐火物は耐火性を有 する無機材料で、耐火度(SK番号)では陶磁器より上位にあるものが多い。陶磁 器と同様に粉体原料を混練し、乾燥し、焼成して製造されることが多い。一般的 に耐火物は、耐火度は高いが熱衝撃性(急熱、急冷に耐える性質)に劣る。 主要な成分がシリカ分かマグネシア分かで、酸性耐火物、塩基性耐火物と分類 される。(アルミナ質は中性) 177

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(5)ファインセラミックス
ファインセラミックスはニューセラミックスともいわれ、精選された化学品や ときには薬品を 原料として、よく制御した製造装置を用いて製造された新しいヤ 能を発揮する無機材料である。ファインには、精密な。 すばらしい·緻密なとい う意味と、原料自体を超微粉にしているという意味合いも含まれている。非常に 細かけることにより、今までに ない性能をもたらすことがあるからである。 ファインセラミック スでは各種の組成系が研究されている。用途も手探りの 分もあるが、 電気用部品や刃先,工具等の機械部品、光学部品等に供され、また は試用されている。

3,有機材料
有機材料は高分子材料と同義であり、ほぼ分子量が1万以上のものを指す。 有機材料は、木材、繊維、ゴム、皮革、石油製品、塗料,洗剤の一部、プラスチ ックと幅広い製品群がある。なおプラスチックは別に項を設ける。
(1)木材
木材からはパルプが作られ、製紙工業の主原料として使用されている。 木材の形状を残した材料としては、家屋や小構造物、家具、作業台、さらには 日用の道具,装飾品等に使用されている

 (2)繊維
 天然繊維は、植物性、動物性があり、それぞれ綿,麻と羊毛·絹などがある。 再生繊維は木材等のセルロースを主原料にしたレーヨンが有名である。 合成繊維はナフサ等を出発原料としたもので、化学繊維とも呼ばれている。ポ リエステル系、アクリル系、ナイロン(ポリアミド系)が代表であり、その他ポリ ウレタン系,ポリ塩化ビニール系等々がある。さらに高強度なカーボンファイバ ー、アラミド繊維などは、その特徴を生かして複合材料としても活躍している

 (3)ゴム
 天然ゴムはゴムの木の樹液から作られる。合成ゴムは、ブタジエンやクロロプ ロピレンを合成し、耐磨耗性、耐熱性、耐薬品性に優れ、自動車タイヤなどに利 用されている。 / (4)皮革 皮革も天然皮革、合成皮革に大別され、天然皮革は動物の皮から加工され、装 -178-


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の革製品や靴などに利用されている。合成皮革は、耐水性、耐久性および美 用の革製品や れたものが開発されており、用途も広がっている。 こも優

 (5)石油製品 種類 意味.特徴
①石油ガス 液化石油ガス。比較的液化が容易0運搬性に優れている 熱分解後プラスチックの基礎製品の各種石油化学製品の原料となる。ガソ リンはナフサを改質したもので、燃料や工業用溶剤としての利用がある。 加熱·灯火用として利用。石油発動機用の燃料、溶剤としても利用 ④軽油 ディーゼルエンジ ン用、洗浄用などの利用がある 工業用の加熱炉やボイラーの燃料や動力用燃料として使われる。一般にA

⑤重油 重油、B重油, C重油として取引されているが、J ISでは1種、2種、 3種と分けられている AからCに向かうにしたがい、粘度が高くなり、 色も透明な茶色から黒になる ファルト|常温では固体、黒色。道路舗装や塗料の用途がある 67ス プラスティック 熱硬化性プラスチックとは文字通り、熱を加えると硬化し、再加熱しても柔らか くならない。熱可塑性プラスチックは加熱すると柔らかくなり流動性を帯びてくる。

 (1)熱硬化性プラスチック
種類 説明
 ①フェノール系 |ベークライト 紙や布などと積層し、電気部品材料に利用。
②不飽和ポリエステル系| FRP(後述)用に利用。
 ③エポキシ系 耐熱、耐薬品性、電気絶縁性に優れ、IC基板用として利用
④シリコン系 |エポキシ系同様、絶縁材、プリント基板などに利用
⑤ポリウレタン系 建材やマットレス等の利用 。
⑥アミノ系 別名ユリア樹脂。日用品や電気部品に利用( -179- ガサ

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(2)熱可塑性プラスチック
種類 説明
①ポリエチレン系 ルム、日用品等広範囲に利用。 包装材等に利用
②ボリ70ピレン系 |引張強度、弾性率が大、成形性が良いーーーーーーーーーーーーーーーーー ③ポリ塩化ビニール系 代表的プラスチックである。通称 ④アクリル系 可視光線の高透過率、別名アクリルガラス ⑤フッ素系 耐熱性、耐薬品性、電気的特性に優れている-台所製品等に利用

 (3)エンジニアプラスティック
ック(熱可塑性プラスティック、熱硬化性プラスティック)に比 汎用プラスティ て、強度などの性能が著しく優れるものをいい、軽量化を図るために自動車 部品やその他の工業製品に対し、金属材料に代わって使用量が増加している。難 燃性、耐摩耗性、剛性、弾性および耐薬品性が高いなどの性能を有する。 なお、エンプラにはポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート,ポリ, エニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート(PET)がある。


 hq 5, 複合材料
複合材料は、母材(マトリックスともいい、以下の説明ではプラスチック、金属 合金、セラミックスを指す)に強化材(下の説明では繊維等を指す)をいれていくつ かの材料を複合したものをいう。 代表的な繊維強化複合材について説明する。

 (1)繊維強化プラスチック
 繊維強化プラスチックはF R P (fiber reinforced plastics)と呼ばれており、 維で強化したプラスチックの意味である。G FRP (glass fiber reinforced plastic s), CFRP (carbon fiber reinforced plastics)、AF RP (aramide fiber reinforced plastics)等が実用化されている。それぞれ、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド 繊維でポリエステル、ポリカーボネート等のプラスチック母材を強化している。

 (2)繊維強化金属
繊維強化金属はFRM (fiber reinforced metal)と呼ばれている。アルミニウム などの金属を母材とし、炭化珪素、アルミナ、タングステン、炭素等の繊維を強 化材としたものである。 -180- し

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(3)繊維強化セラミック
繊維強化セラミックはF RC (fiber reinforced ceramics)という。母材には、セ ント、ガラス、セラミックが使われ、強化材には強化繊維、炭化珪素繊維、セ ミック繊維などが使われている。 母材のセラミックに他のセラミック粒子を分散させた粒子分散強化セラミツクと いうものもある。 :比 -181 メラ 比車難

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S2,製造·加工技術と設備機械
 1、加工技術
 (1)鋳造
鋳造作業は、製作したい品物の形状の模型を作り、それに基づき鋳型を作る 鋳型に溶けた金属を注ぎ込み、冷やしてから仕上げを行う一連の作業である。 種類 説明 ①模型|品物の原型で、加工工程を考 慮して切削代.仕上げ代を含むもの。木製が多 ②鋳型1砂型が多いが、鋳込み用の型である。その他、ロストワックス、石膏鋳型があり、 金型も使われることがある。

1)シェルモールド法!あらかじめ珪砂に熱硬化性プラスチックをコーティングL ておき、これを加熱した金型にかぶせると砂が固まり、基 本となる表面形状ができる。これを他の砂と組み合わせて 鋳型を作る方法である 2)ロストワックス法!「ろう」で模型を作り、これで鋳型成作時に埋めこむ。そ の後ろうを溶かして流し出し、鋳型を完成させる。製品形 状が忠実に写し出されて、鋳肌が美しく寸法成精度が高い ものを作れる。 ③溶融炉11)キューポラ(コークスと一緒に溶かす) ,

 2)電気炉(アーク炉、<高周波>誘導電 気炉),

 3)るつぼ炉。誘導電気炉やるつぼ炉は地金の汚染が少ない。

④その他|
1)ダイキャスト(精密金型に高圧で湯<溶けた金属>を注入する方法) 2)遠心鋳造(型を回転させておき、湯を注いで遠心力で成形する)

 (2)塑性加工 塑性加工は、材料に外圧を加えて変形させる加工方法である。
種類 説明
①鍛造
1 鍛造はハンマーやプレスで素材を打ち、変形させて所定の形状にするこの過程 で素材の金属を改質したり、小孔を埋めることができる。古来の刀鍛冶、熱間鍛 造-自由鍛造、型鍛造、
2)冷間鍛造等がある。 ②圧延 |ローラーの間に素材を通し、延ばしながら厚みを減じたり、管径を小さくする加 工方法。
 37レス|金型と金型の間に金属板等の素材をはさみこみ加圧変形(切断もある)させる加工 方法。
1)打抜き加工(せん断を行う加工) ,
2)曲げ加工、
3)絞り加工(中空容器等製 作時によく使われ、塑性変形の量や範囲が広い)がある

 ④その他
|高エネルギー成形:爆発成形法、放電成形法、電磁成形法は、それぞれの高エネ ルギーを利用して塑性変形を起こさせる方法である。 182

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(3)溶接
 溶接は、 同質(または異質の材料を溶かして、素材どうしを接合する方法と、 材(母材)の接合面 才)の接合面も溶かして接合する方法とがある。母剤も溶かす方法を溶融 素材( 法、溶かさ ない方法をろう接法という。加圧しながら溶接する加圧法もある。
 説明
①アーク溶接|アークによって接合面を溶かす溶接法である ガス溶接 ガスの燃焼熱により接合する方法通常酸素-アセチレン混合ガスが使われる ides接 |素材どうしを接触,加圧し、電流を流し、電気抵抗による発熱を利用した溶
③抵抗溶接 接方法である。 ーの他ㄧ一

1)-電子ビーム溶接一電子ビームを真空中で素材の接合個所に集め、そのエ
 ④その他 ネルギーで溶接する方法。特殊な精密部品の溶接に利用される。
2) プラスチックの溶接:熱風溶接法、高周波溶接法、超音波溶接法が熱可 塑性プラスチックの溶接に用いられている

(4)切削加工 | 切削加工は、切りくずを出しながら素材の加工したい部分をはがし取る(削り 取る、むしり取る)加工方法である。 ①切りくずの種類 素材の性質や切削条件(速度、工具の種類、温度、切削液の差異)により、
1) 一流れ型切りくず、
2)せん断型切りくず、
3)むしり型切りくず、-
4)きれつ型切り くず、の4種類に分けられる。 構成刃先 切りくずの一部が刃先に溶着することをいう。通常は構成刃先の発生を防止 しなければならない。

②刃先の工具
1) 炭素工具鋼(高炭素鋼で、木材加工等に使用)
2) 非鉄鋳造合金(C r、W, C oのステライト)
3) WC-Co系超硬合金(炭化タングステンとコバルトとの合金)
4) TiC系超硬合金(TiC-Niの形で利用される)
5) cBN(立方晶窒化ほう素、ダイヤモンドに次ぐ硬さ)

③切削液 工具を冷却し、工具寿命を延長させたり、仕上げ面の精度向上等を図るため に切削液が使われる。鉱油をベースにした油性、不水溶性切削液と界面活性剤 -183-

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を添加した水溶性に2分される。 切削加工と同様に研削加工も素材を削り取るが、研削加工は砥石によってか

 (5)研削加工
つでわ 砥石は、一般の切削工具と異なり、磨耗して切れ味が悪くなると脱落して新! かに切りこませて取り去る方法である。 い砥粒が現われるようになっている(自生作用)。

(6)精密加工、特殊加工,化学加工
①精密加工 明 ホーニングは、主にシリンダーのような内面を研磨するときに使 種類 ホーンと呼ばれる保持具に複数の砥石を取り付け、シリンダー内面に しつけ、回転·往復運動させる加工法である。研削に比べ低速なホーー ング速度で行われる。円筒外面や平面も加工できる

2)超仕上げ !超仕上げは、結合度の弱い砥石を微小振動させて押しつけ、回転,往復 運動させる表面加工法である,仕上げ面の平滑度は良い

 3)ラッピング ラッピングも表面仕上げの加工方法である。ラップという工具に液状の ラップ剤(砥粒)を入れ、被研削物を押しつけて研磨する(湿式ラッピン グ),砥粒を埋めこんだ乾式ラッピングもある。

4)バフ仕上げ1バフ仕上げは、柔らかい布や皮に砥粒をまぶし、それと被研削物の間に 相互運動を与えて仕上げる表面研磨法である

②特殊加工、化学加工
種類 説明
1)放電加工 |加工液中でパルス状の放電を起こさせ、被加工物の穴あけ等の加工を 行う。複雑な形状のものにも適用できる。ワイヤーカットを放電加工 法というワイヤーを使った方法もある

 2)超音波加工 |超音波加工は超音波を利用した加工方法で、振動している工具と工作 物の間に砥粒を含むスラリーを流して加工する。

3)電解研磨 |電解研磨は電解質の溶液に浸けられた電極と工作物の間に電位をかけ 工作物の表面を電気化学反応で溶かし出す方法である。電気メッキの 逆である。

4ルーザー加工|レーザー加工は、レーザー光を集めて高エネルギー化し、加工する方 法である。工作物の局部には非常な高温が得られ、全体の昇温はわず かである。

5)化学研磨 |化学研磨は、酸やアルカリのような化学溶液の中に工作物を浸け、化 学反応により溶出させて表面を滑らかにする研磨方法である 184 184

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(7)熱処理
 (7)秋処理は、機械工作では鋼(炭素鋼)の熱処理が重要である。 の熱処理は、適切な温度に加熱した後、スケジュールにそって冷却して、金 属組織を変えた を変えたり、歪を除いたり、表面を改質したりすることをいう。焼きなま し、焼きならし、焼き入れ、焼戻しの4種類がある。 種類 冷却方法 目的 焼き なまし(annealing 徐冷 応力除去、軟化、組織の均一化 焼きならし(normalizing) 空冷 強度じん性の確保 焼き入れ (quenching) 水冷(油冷) |強度の確保、硬化 ARしーーーーーtempering) 1徐冷、空冷ーーーーー焼き割れ防止 焼戻し (tempering) |徐冷、空冷!応力除去、焼き割れ防止 出典:冨士明良「工業材料入門」山海堂,P50

 (8)化学処理
①化学発色ステンレス 化学発色ステンレスはクロム酸混液(クロム酸+硫酸)中にステンレス鋼を浸 漬し、表面に不動態膜を形成、耐食性の向上と干渉色による美観が得られる。 ②アルマイト アルマイトは、金属アルミニウムをシュウ酸、硫酸、クロム酸などの水溶液 中で電気化学反応によって酸化アルミニウム(A1203)皮膜を作るものであ り、強度、耐食性を強める。

③ガラスの化学処理
1) 化学(イオン交換)強化ガラス 化学(イオン交換)強化ガラスは、通常の熱強化ガラスと異なり、ガラス中 のアルカリイオン(N aイオン)と加熱された溶液中のアルカリイオン(Kイ オン)とを交換して、ガラス表面に強力で制御された歪(応力層)を形成させ て作る強化ガラスである。

 2)ゾルゲル法によるコーティング ガラスや他の素材の表面に化学的に作ったゾルーゲル法によるガラス皮膜 を形成させ、表面を改質する。 185-

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(9)プラスチックの成形·加工技術
①プラスチックの成形(1次加工) 説 ラスチックの代表的な成形方法である。加熱ソ 種類 ールド(金型)の中に熱硬化性プラスチックの粉末を入れてた

1)圧縮成形 熱硬化性 加圧 ,加熱して成形する。硬化した後に金型から取り出す 熱硬化性プラスチックの成形方法の1つである熱硬化性 スチックをトランスファーポットと呼ばれる個所に入れて

2)トランスファ成形 加熱 軟化し、プランジャーで加圧してノズルから金型へ注入し 熱および硬化させる。多数個取りが可能である。 熱可塑性プラスチックの代表的な成形方法であるが、 熱硬化性

3)射出成形 プラスチックにも適用される。成形装置は、主にホッパ リンダーで構成される射出装置部と型絞め装置部からなる︶ (インジェクション) リンダー内で加熱流動化した材料をスクリューまたはプランジ ヤーで押し出し、その過程で混練,可塑化が進行し、型絞め装 置の型に圧入されて成形される。 棒やパイプ·シートなど連続形状(長尺もの)の品物の成形方法:

4)押出し成形 で、熱可塑性プラスチックの成形に使われる。シリンダー内で 軟化した材料を押出機の穴(ダイという)を通して押出し成形す 6.

5)ブロー成形 熱可塑性プラスチックの成形方法の1つであり、容器等の成形に 使われる。原理的にはガラスビンやコップの製造方法と同じで ある,柔らかくなった材料をダイと呼ばれるスキマから押し出 し、パイプ状のパリソンを作り、低部を挟みつけて閉じてから、 空気を吹き込んで膨らませ、金型に押しつけて成形する。その 後冷却して取り出す

6)カレンダー成形 |熱可塑性プラスチックの成形方法の1つであり、フィルムやシー トを成形するのに用いられる。加熱した何対ものローラーの間 を通過させ圧延する。可塑化する温度範囲が大きいプラスチッ クに向いている。

7)積層成形 熱可塑性プラスチックを複数枚重ね合わしたり、複合材料を作 るときに使われる製法である
 ②プラスチックの(2次)加工
 2) 熱加工(熱溶接法、ホットジェット溶接法、高周波加熱溶接法、超音波溶接法)
1) 機械加工(形式的には他の材料の切断、穴あけ、研削方法と同じである)
3)塗装
4)帯電防止 と 明

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工作機械
(1)工作機械一般 歯切りなどの、-、鉄や非 鉄や非鉄金属、プラスチックなどの材料を切削、研削、穴あけ 工作機械は の加工を行い、部品等の所定の品物を作る機械である。機械部品も作 りなどの加工 械であり、マザーマシンとも呼ばれることもある。 機械工作法を、除去加 除去加工、変形加工、付加加工に分けることがあり、それぞれ に対応して、除去加工用機械(切削、研削 など)、変形(塑性)加工用機械(プレス など)、付加加工用機械(溶接など)とされることもある。

種類 説明
①旋盤 切削加工を行う工作機械で、主に丸棒の加工に用いられる0旋盤は 回転している工作物をバイト(刃物)などで切削する。このとき、エ 作物は回転運動、刃物は送り運動(工作物に沿って移動)と切りこみ 運動(切削につれてすこしずつ工作物の内部方向に移動)が加えられ 切削が進行する。旋盤では、丸削り、端面削り、穴あけ、中ぐり. 突切り(切断)、テーパー削り(円錐状に削る)、曲面削り、ネジ切り、 等の加工ができる

②ボール盤 主としてドリルを使って穴をあけたり、あけられている穴をさらに 大きくしたり仕上げたりする機械である。日用大工の電動ドリルを 固定させ、大型化したものとイメージするとわかりやすい。 ●中ぐり盤 中ぐり盤はボール盤などであけられている穴をさらに大きくしたり、 仕上げをするときに使われる機械である。

③フライス盤 フライス工具(多数の切れ刃を持ち、回転させながら加工を行ってい く工具)を用いて平面、曲面、溝などの加工を行う機械であるテー ブルに工作物をセットし、これに送り運動を与える。フライス工具 が回転運動をし、切りこんでいく機構になっている。フライス盤で は平面加工、溝きり、段付け、穴加工、切断などの作業ができる。

④平削り盤 平削り盤は、工作物を取り付けた長大なテーブルに往復運動を与え 刃物をこれと直角な方向に直線的に送って切削する機械である。比 較的大きい品物を平らに削るのに用いる。

⑤形削り盤 形削り盤はバイトに往復運動を与え、直線的に切削するもので、小 (シェーバ さい表面の加工(平面やみぞを削る)に用いられる機械である。この 機械では、工作物が静止し、刃物のほうが往復運動をする。取り扱 いが簡単であるが、高精度を要する工作には適しない。

⑥研削盤 といし車(研削作業に用いるといし)を回して一般的刃物、きり、フ ライスの研削および高い硬度の材料の精密仕上げを行う工作機械で ある 187

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工作機械
 (1)工作機械一般 歯切りなどの、-、鉄や非 鉄や非鉄金属、プラスチックなどの材料を切削、研削、穴あけ 工作機械は の加工を行い、部品等の所定の品物を作る機械である。機械部品も作 りなどの加工 械であり、マザーマシンとも呼ばれることもある。 機械工作法を、除去加 除去加工、変形加工、付加加工に分けることがあり、それぞれ に対応して、除去加工用機械(切削、研削 など)、変形(塑性)加工用機械(プレス など)、付加加工用機械(溶接など)とされることもある。

 種類 説明
①旋盤 切削加工を行う工作機械で、主に丸棒の加工に用いられる0旋盤は 回転している工作物をバイト(刃物)などで切削する。このとき、エ 作物は回転運動、刃物は送り運動(工作物に沿って移動)と切りこみ 運動(切削につれてすこしずつ工作物の内部方向に移動)が加えられ 切削が進行する。旋盤では、丸削り、端面削り、穴あけ、中ぐり. 突切り(切断)、テーパー削り(円錐状に削る)、曲面削り、ネジ切り、 等の加工ができる

 ②ボール盤 主としてドリルを使って穴をあけたり、あけられている穴をさらに 大きくしたり仕上げたりする機械である。日用大工の電動ドリルを 固定させ、大型化したものとイメージするとわかりやすい。 ●中ぐり盤 中ぐり盤はボール盤などであけられている穴をさらに大きくしたり、 仕上げをするときに使われる機械である。

 ③フライス盤 フライス工具(多数の切れ刃を持ち、回転させながら加工を行ってい く工具)を用いて平面、曲面、溝などの加工を行う機械であるテー ブルに工作物をセットし、これに送り運動を与える。フライス工具 が回転運動をし、切りこんでいく機構になっている。フライス盤で は平面加工、溝きり、段付け、穴加工、切断などの作業ができる。

 ④平削り盤 平削り盤は、工作物を取り付けた長大なテーブルに往復運動を与え 刃物をこれと直角な方向に直線的に送って切削する機械である。比 較的大きい品物を平らに削るのに用いる。 ⑤形削り盤 形削り盤はバイトに往復運動を与え、直線的に切削するもので、小 (シェーバ さい表面の加工(平面やみぞを削る)に用いられる機械である。この 機械では、工作物が静止し、刃物のほうが往復運動をする。取り扱 いが簡単であるが、高精度を要する工作には適しない。 ⑥研削盤 といし車(研削作業に用いるといし)を回して一般的刃物、きり、フ ライスの研削および高い硬度の材料の精密仕上げを行う工作機械で ある 187

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門形平削り盤 (JIS B 0105) 刃物台 りねじ テーブル 形削り盤 JIS B 0105) 立て形マシニングセンタ (JIS B 0105) 出典:平井三友他著「機械工作法」コロナ社


(2)オートメーション オートメーション(automation)は自動化、自動操作と訳されているが人手の介 在なしに作業するように設計されたシステムであり、人手を必要とせずにシステ ム自体が操作·制御を行うものである。 生産現場に大いに関係するFAは、プロセスオートメーション(化学プラント, 電力など)とメカニカルオートメーション(機械加工、組立型産業など)が主要な ものであり、メカニカルオートメーションではトランスファーマシン(自動化し た工作機械とコンベヤとを組み合わせた一連の装置)も重要な構成要素である。

 (3)ロボット ロボットの統一された定義はないが、一般には人間に代わって人間よりも過激 な環境に耐え、早く、正確に、安く作業するよう自動制御で動作する装置を指す。 -189-

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産業用ロボットは擬人的な特徴を持ち、汎用性があり、プログラムできる機能 を持った機械である。現在、搬送工程、プレス加工工程、熱処理工程、溶接工程、 組立工程、塗装工程、検査工程など、ますますその用途は広がってきている。

この産業用ロボットは、
①危険な作業(潜在的に作業者に危険を及ぼす現場や ワークが非常に熱いものである場合など),
②作業が反復的、
③ワークの重量が 大きい、などの場合には経済的かつ実用的である。

図表3 産業用ロボットの種類
 ロボットの形態 特徴
①円筒座標ロボット サトラン形とも呼ばれ,全旋回できる特徴を持っている。制 も容易で精度も高い腕を引いたとき後に出っ張る欠点がある
②極座標ロボット ! ユンメート形ともいわれ、狭い設置面積で広い作業領域をカバー できる。各関節部での位置誤差が先端で拡大されるため高精度の 確保が難しい
③直角座標ロボット !精度が高く、直方体の動作範囲を持つ。広い設置面積を必要とす る割には作業領域が
④多関節ロボット |水平多関節形と垂直多関節形とがある, 自由度も大きく、動作範囲 も広いのでさまざまな用途に用いられている。機械的精度は低い -|-卞

出典:石田俊広著「生産情報システム」同友館,P101 -190-

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:3,新技術
1, IT technologyの略で情報技術と訳されている。21世紀も間近と IT information techno いう90年代の後半になって になって急に世の耳目をひくようになった用語である。 近年、集 集積回路技術の進歩などによるコンピュータの発展·普及や、携帯端末で るような通信技術の進展が社会を大きく変え、高度情報化社会へと変貌して 見られ きた。つまりこの りこの代表として、インターネットを中心とした情報通信技術の革新が の関係性を一変さ せてしまうインパクトがあったわけである(IT革命)。この さらに、より高度な付加価値を生み出す知識創発型社会への移行を期待させ るものになってきている。 ITは、単なる技術に止まらず、社会、経済、司法、政治、行政をも巻き込 んだ一大テーマに変わってきている。それはIT戦略会議における「IT基本戦略」 の提言のなかで、重点政策分野として、
①超高速ネットワークインフラ整備及び競 争政策、
②電子商取引ルールと新たな環境整備、
③電子政府の実現、
④人材育成の 強化、の4点を提案していることを見てもわかる。(「経営情報システム」参照) p2 バイオテクノロジー コンピュータをはじめとするITの進展が、この四半世紀の世界経済を一変させ たように、21世紀はバイオテクノロジー(biotechnology:生命工学、生物エ学)の時 代といわれている。このバイオテクノロジーは、人類が直面している様々な課題を 解決する切り札と考えられており、政府は、2010年(平成22年)において、バイオ関 連産業の市場規模が25兆円程度に成長することを期待して環境整備を目指してお り、今後大幅な市場拡大が注目されている。

平成11年に科学技術庁(当時)など関係5省庁が申し合わせた「バイオテクノロジ 産業の創造に向けた基本方針」の中で、ビジネス機会を拡大する技術として、新 たな産業創出のための施策を進めるとしている。この基本方針によると、バイオテ クノロジー分野では、既に遺伝子組換え技術の発達を端緒として技術革新が急速に 進んでおり、今後、高品質·高収量の作物の開発や環境保全型農業の確立、遺伝子 治療や新たな医薬品の供給等の農業分野、医療分野はもちろん、生物機能を利用し た物質生産による化学工業のプロセス転換、生分解プラスチック等の新素材やパイ 191

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象物質を測定·検出するセンサー)、機能性食品、バイオ試薬·機嘂等の センサー(酵素反応や微生物の呼吸などの生体反応を電気的信号に変換 DNA鑑定やパイオレメディエーション(微生物や植物などの働きを活用! して 染された土壌などを浄化·修復する技術)等の新サービスの提供等、化学 食品 電子,機械、環境·エネルギーといった幅広い産業分野において、質の いて、質の高い雇用の 場と新規ビジネスの機会をもたらすとともに循環型経済社会の実現に貢 社会の実現に貢献すること が強く期待される。


3、ナノテクノロジー
ナノテクノロジー(nano technology)とは、微小な長さ,量の領域を扱う工学 称であり、そこで扱う領域の大きさは、おおよそ10-6m ~ 10-9mである。 ナノメータ(nm)は計量単位の1つであり、1 mの10億分の1の長さ(髪の毛の さの10万分の1)を表す。長さの単位を復習してみると、1mは1.000mm ( ミリメー トル)であり、1mmは1,000 μ m(マイクロメータ:通称ミクロン)となる。この1 μm の1,000分の1がナノメータである。ちなみに、金の原子は1nmに約3個並び、ウ イルスは数+nmの大きさである。

バクテリアは1 μm(1000m)のオーダーであり、 LS I (大規模集積回路)素子の線幅はサブミクロン、つまり0. 1 μm(100nm)の世界 である。 ナノテクノロジーは分子、原子レベルでの操作(だどえば光 作(たとえば光 ビみ iの利用) ピンセントの利用)を 目指しており、日本においては、半導体における微細化技術やカーボンナノチュー ブ(炭素原子が管状に結合した物質で、鉄鋼よりも硬く、電気をよく伝え、アルミ ニウムよりも軽いという特質を持つ炭素の結晶)の発見など成果を上げている。 その他、ナノテクノロジーの応用分野としては、IT、バイオ、環境、エネルギ ー、材料、医療の分野と広範囲にわたり進んでおり、市場規模の拡大も予測されて いる。 -192-