第1章 生産管理
<本章の目的と出題傾向>
運営管理(オペレーション マネジメント)という科目設置の目的は、中小企業診断士第1次試験案内において、「中小企業に対する診断・助言において、製造工程の管理や店舗、販売管理に関する基本的な知識を身につけることによって、企業経営の現場に即した問題点の把握や課題解決方法の提示ができる能力を身につける。」 ことと記されている。
本章では、「製造工程」に関する基本的な知識について生産管理を学習する。
生産管理の対象範囲は広く、設計・調達(第2章)、作業までのすべての活動が含まれると考えて良い。
これら生産活動を実施する場所が工場であり、工場の現場における様々な管理(工程、作業、品質、設備など)の関係を捉えて頂きたい。


☆1. 生産管理概論

「生産管理概論」の全体像

生産管理概論
  生産管理
    生産
    管理
    需要の3要素(QCD)
    生産の3要素(3M)

  生産形態
    受注のタイミング  
      見込生産
      受注生産
    種類と量
      少品種多量生産
      多品種少量生産
  仕事の流し方
      個別生産
      ロット生産
      連続生産
  その他:生産性


>4.生産管理の機能
別紙にあり


り、最もクリエイティブな段階である。

P11
☆2.製品開発・設計管理

>1.製品開発

>2.製品設計


(2)基本設計
製品企画で設定された要求仕様を満たすために、基本機能を決め、それを するような製品の基本原理や基本構造を決定する。その結果を、製品の全体構成を示す基本設計図としてまとめる。

①機能設計
機能設計とは、「期待する製品の性能を発揮するのに必要な機能とそれらの関連を求め、各機能を実現させる構造を求める活動、又はその構造図。」 Z 8141-3109)とJ I Sで定義されている。

②意匠設計
製品のデザイン性を検討する。

(3)詳細設計
基本設計図をもとに各部品を決め、製品を構成する個々の部品の詳細な形状や 細部の寸法を決定し、材質などの精度情報も付加して、部品単位の設計を行う。 部品設計では、部品細部の機能、構造、性能も決定する。

(4)生産設計
生産設計とは、「機能設計の内容について、生産に対する容易性」とJISで定義されている。この生産設計では、製品を製造する際の加工、運搬、荷役、保管、検査 という各工程での作業性、それぞれの部品を組み立てるときの組立性や容易性、 環境に対する安全性や分解性、そして原価をできるだけ引き下げる技術対策を必要とする経済性などについて考慮する。


>3. 設計管理
設計管理とは、設計部門の活動の効率化を図るために、設計部門の業務を体系的 に整理、組織化、制度化して管理することである。この設計管理に関する主要な内 容について、以下で見ていく。


(1)デザインレビューの徹底と早期の改善
設計時のミスは製造以降に大きな損害を与える。部品の交換、手順の変更、完 成品のリコールなど、後戻りが発生する。よって設計時のミスを早期に修正するため、デザインレビューの徹底が必要である。また設計時点での改善は、製造以降での改善に比べ、コストがかからないだけではなく、後戻り作業を防| 让する意 味でも大きな効果が得られる。 デザインレビューとは、新製品のできばえを評価·確認する方法である。また、 JISによると、「設計の適切な段階において、設計結果の公式な、文書に基づ く審査を計画し、実施すること。各々のデザインレビューに参加するメンバーは 審査される設計段階に関係するすべての部門の代表者だけでなく、必要に応じて 他の部門の専門家を含めること。これらの審査の記録は維持すること。」(JIS Z 9901)と定義されている。

(2)コンカレントエンジニアリング
コンピュータの発達により、製品設計が終了した部分から生産プロセス設計や 工程設計等を並行して行えるようになってきた。これをコンカレントエンジニア リングと呼ぶ。コンカレントエンジニアリングとは、「製品設計と製造、販売な どの統合化、同時進行化を行うための方法。」(JIS Z 8141-3113)をいう。
CAD を行う! データによるコンピュータ上のシミュレーションを実施している間に、試作用の CAMデータの作成を行ったりすることが可能となっている。 済性など 図表1-7 従来の設計とコンカレントエンジニアリングの比較 定義され 従来11ー 入設計/wAaiff/変更/L rmmy maN_試作VRIN生産 設計y生産 管、検査 容易性。 商品 CE11企画/ 設計 開発期間の短縮 準備/ 生産

※CAD (Computer Aided Design) を体系的 製品の形状その他の属性データからなるモデルをコンピュータの内部に作 成し、解析·処理することによって進める設計。」(JIS B 3101-0102)
※CAM (Computer Aided Manufacturing) 「コンピュータ内部に表現されたモデルに基づいて生産に必要な各種情報を 修正する 生成すること、及びそれに基づいて進める生産の形式。」(JIS B 3401-0103) -13-

**************************************************************************************************************

p15

☆3.需要予測(生産予測)
「需要予測」の全体像

需要予測
時系列データによる予測
   傾向変動、循環変動
   季節変動、不規則変動

      実績グラフによる予測
      単純移動平均法
      指数移動平滑法
           単純移動平均法
           加重移動平均法

非時系列データによる予測
単回帰分析
重回帰分析


生産計画を闇雲に作成することはできないため、通常、需要予測(生産予測)する。
市場の動向や販売戦略等で製品の需要は複雑に変動するため、予測は容易ではないが、様々な数式モデル等の手法や専門家の経験等を使い、総合的に作成する。
予測時には、誤差を如何に少なくするか、誤差の範囲の推定が重要である。


>1. 時系列データによる予測
時系列の変動は、
①傾向変動(長期間にわたって緩やかに上昇または下降していく傾向)、/
②循環変動(数年から十数年を周期として循環的に繰り返される変動)、 ~大
③季節変動( 1年を周期として規則的に繰り返される変動)、~~中
④不規則変動(原因不 明の偶然的な要因による変動)の4種類に分類できる。~~~~小

図表1-8時系列の分解
出典:工藤市兵衛著「現代生産管理」同友館 P32


(1)実績グラフによる予測
実績グラフによる予測は、期間をヨコ軸に、需要量(販売量、生産量を にしたグラフに実績値をプロットした散布図を描く。それをじっと眺めてフリー ハンドで傾向線を描いてもよいし、傾向線が直線で近似できそうなら最小2乗法 で解析的に解いてもよい。2次式やその他の関数にも解析的に近似できる。それを来期まで延長(これを外挿という)し、来期の予測値にするものである。

(2)移動平均法による予測
移動平均法は、時系列データの不規則変動を除去し、傾向変動を分析するため の手法である。これには、単純移動平均法と加重移動平均法がある。

①単純移動平均法
単純移動平均法は、最近のいくつかの実績値の単純平均を求め、それを次期 の予測値とする方法である。時系列データに含まれる不規則変動は除かれる 傾向変動がある場合、データの変化を遅れて追うことになる。

②加重移動平均法
過去の実績値の平均を求めるときに、それぞれ異なった重みを与えて平均す る方法である。
史一〒朠系惘 .T


(3)指数平滑法による予測
指数平滑法は、需要の不規則な変動を滑らか(平準化)し、かつ需要の変化に追従させた場合に用いられ、直近の実績値の影響を大きく受けることに特徴がある。

αが1に近い値をもてば、予測誤差(Dt-1ーFt-1)の修正項が大きく影響し、新しい予測値は観測値Dt-1に近い値になる。逆に0に近い値をとれば、修正はほとんど行われず、予測値Ft-1に近い値になる。

Ft = Ft-1 + α(Dt-1ーFt-1)
Ft:第t期の需要予測値
Ft-1:第t-1期の需要予測値
α:平滑化係数(0≦ α≦1)
Dt-1:第t-1期の需要実績値


>2. 非時系列データによる予測
もう1つの生産予測の方法は、例えば気候的要因(気温、雨量等)や社会的要因(人口構成等)、経済や営業的要因(GDP、販売店の構成、ライバル企業の売上等)に より、ある食品メーカーのある商品の需要がいかに変化するかを過去のデータ等に基づき予測するような「非時系列データによる予測」である。
(このような非時系列的な各種要因によって需要量が変化することを解析する手法に重回帰分析がある。 (この各種要因を説明変数、需要量を被説明変数と呼ぶ。)

(1) (単)回帰分析
1つの説明変数で被説明変数を表せる場合、単回帰分析ができる。例えば、人口の多少のみによって需要の大小も変動しているような場合である。

(2)重回帰分析
上の例では、人口だけでなく雨量や時間帯も説明変数にした方が適切なこともあろう。このように、説明変数が複数個の回帰分析を重回帰分析という。変数が多くなると計算は複雑で、統計解析用アプリケーションソフトで処理する。



☆4.生産の計画と統制(工程管理)
旧兆 「工程管理」の全体像
手順計画 工数計画 生産計画 大日程計画 日程計画 (中日程計画 小日程計画基準日程、手配番数 → PERT.ジョンソンの方法 物による緩衝 (バッファ,.能力による緩衝 時間による緩衝 作業手配 進捗管理--個別生産-ィガントチャート カムアカシステム

工程管理 生産 制 連続生産 製造三角図 作業統制 流動数曲線 現物管理 余力管理 事後処理 製番管理方式 (工程管理システム 備品管理方式 流動管理方式 追番管理方式 部品中心生産管理方式-オーダーエントリーシステム 生産座席予約方式

>1.工程管理
工程管理の目的は、P(量的生産性の達成)、Q(品質の維持向上)、C(原価低減)、 D(納期の達成と短縮)、S(安全の確保)を実現するために、主として日常の業務を 円滑に達成することにある。 ここでは工程管理を、生産計画と生産統制の機能で構成されていると定義する。

>2. 生産計画
生産計画は、広義 狭義の2種類がある。
狭義には、主として日常業務(ルーチ ン作業)を実施するための計画を指す。
広義には、これに加えて経営計画の一環と する日常業務以前の計画である基本計画をも含めるものである。この節では、主と して日常業務を遂行していくにあたっての活動として説明を進める。 -18ー

p19

生産計画を大別すると、手順計画、工数計画、日程計画の3種類の計画になる

 (1)手順計画
手順計画とは、「製品を生産するにあたり、その製品の設計情報から、必要作 業、工程順序、作業順序、作業条件を決める活動。」(JIS Z 8141-3303)をいう。 この計画の目的は、製品を生産するにあたって、最適な作業方法を選びその作業 の標準を制定することで、
①作業方法と工程順序,
②作業条件(使用する機械 治工具等),
③標準時間、
④必要とする作業人員と技能程度、
⑤材料の種類,所 用量、
⑥緩急順位等を決定することである。手順計画を表にしたものを手順表ま たは工程表と呼び、生産の準備資料として利用される。

(2)工数計画(負荷計画)
工数計画とは、生産計画によって決められた製品別の納期と生産量(何を、い つ、何個作るべきか)に対して、仕事量(それを成し遂げるために人員や機械設備 がどれくらい必要であるか)を具体的に決定し、それを現有の人や機械の能力と 対照して、両者の調整を図っていくことである。

ここで工数とは、作業に必要な 延べ時間であり、人が作業に多く関与するときは「人·日(マン,デイ)」、「人 ·時(マン·アワー)」などの単位で表される0人の関与が低い機械作業では「機 械時間(マシン·アワー)」が使われる。 工数計画の目的は、その作業でどれだけの工数が必要かを算定して、現有の人 員や機械の能力との調整を図り、必要な品質の品物を、安く、早く作ることにあ る。これは目的であると同時に、計画作業の流れでもある。

能力は、次式で与えられる。 ER) 能力(人員,機械)=1カ月の稼働日数×1日の実働時間 稼働率×人員,機械数 業務を 稼働率(人)=出勤率× (1-間接作業率) 稼働率(機械)=1-故障率 Q: 工数を評価し、調整する手法に「工数山積表」がある。工数山積表は、注文生 産における工数計画の手法で、受注のつど負荷を工程別または納期別に区分して 累積し、これを棒グラフ(山積表)で延ばしていく。このグラフに基準能力の線を 入れておけば余力の状況が一目でわかる。 また、機種別にグラフを別立てにして、ヨコ軸に日付、タテ軸に工数をとり 主 先の方法と同じように工数を積み上げて作成する能力の基準線から出た部分を 19

p20

谷の部分に移し、調整すると負荷の均一化が図れる。これを「山崩」と 図表1-9 工数山積表 (時間) 工数山積表 ETTh7のRD クソン負荷398- 能力 331:2 負荷 299 om 0ーーーーーーー2コ DEI H 能ヵ 16 6:ー」 2台 M2台 D1台 (機種別)

(3) 日程計画
日程計画とは、「生産量と生産時期に関する計画。」(JIS Z 8141-3302)をいい、 この生産計画を大別すると、大日程計画、中日程計画、小日程計画の3種類にな る0種類と特徴は図表1-11の通りである。 この日程計画の基礎になるのが基準日程である。基準日程とは標準的な日程の ことで、個々の工程、部品加工、組み立て作業、製品の全体のそれぞれについて 決められる生産期間である。

図表1-10 基準日程表
①加工前の仕掛り品があるための「加工待ち時間」

②「加工時間」 加工後の「運搬待ち時間」 (第二エ程ーーーーAA イーーーー


(4)「運搬時間」
 (第一工程) (第三工程) B (第四工程) (第五工程) 日程、製造0 1日 2日 3日 4日 5日 期間 手配番数ーーーーーー 出典:工藤市兵衛著「現代生産管理」同友鉱, PE3 この基準日程を所定の納期に当てはめれば、仕事に着手 する予定日が決まる。 そして、納期から逆算して何日前に作業の手配をすれば良いか、という手配の時 -20-

p21

期を手配番数、略して手番という。例えば、納期からこの例で言えば 5日前に着 手しなければならないときは、着手手番は5ということになる。通常は、1手番 1日とするが、生産期間が長いときは、1手番2日~5日にする場合もある。 工数計画によって、計画期間中の仕事量が明らかにされ、日程計画によって、 各仕事を何日に着手し、何日に完了するかを決める。工数計画と日程計画は、車 の両輪のように、並行的に進められる。

図表1-11 日程計画の種類と特徴
計画の基礎 市場の需要情報 生産工程の情報 的 種類 将来期間に必要な設|推定または期待値 1工程の現状能力はわか っている。 大日程計画|備、人員、資材の必要 量を求める 必要な設備、人員、資1需要量と内容はほぼ確|設備、人材、人員に にな 中日程計画!材の入手時期を求め|定 いてのある時点の状況 はわかっている。

る。 生産の着手、完了時期|需要量と内容は確定 !么要な人員、設備、資 程の 小日程計画!を求める 材は入手済み。 出典:工藤市兵衛編著「現代生産管理」同友館, P54

(4)緩衝機能(バッファ)
生産計画と実績に差異が生じた場合に、その差異を吸収し、変動を減少させるた めの方策のことである。バッファには次の3種がある。
3つの緩衝とも、 コストア ップにつながり易いので取扱いには注意が必要である。それ以上に一番の問題は、 バッファにより工場の欠陥·課題が水面下に潜在化してしまうことである。気がつ かなければ改善することもできないからである。

図表1-12 バッファの種類
種類      説明
①物による緩衝
資材、仕掛り品、製品の在庫(安全在庫)を持つこと。
②能力による緩衝!人員や機械に余裕を持たせること。
③時間による緩衝!資材購入や外注に際し、納期に余裕を持つこと
21-

p22


*********************************************************************
>3. OR概論
ションズ、リサーチ(Operations Research)は、利用者の意思決定をする方法を研究するものである。
ORは、
①社会現象を対象として、
②科学的方法と コンピュータを駆使し 適解を見出し、
④決定者に意思決定の支援を行う技法であり、
⑤問題解決には 方面の専門家の協同作業であたる場合が多い、と定義できよう。

主だったOR手法名を列挙すると次のようになる。
①線形計画法
②非線型計画法
③ネットワーク手法
④スケジューリング
⑤シミュレーション
⑥待ち行列 の
⑦ゲームの理論

このうち線形計画法, PERT(ネットワーク手法の1つ)、シミュレーション を1について簡単に説明する。

(1)線形計画法
線形計画法は、Linear Programmingの頭文字をとってLPと呼ばれている。 のような例題を通して、大雑把に線形計画の仕組みを眺めてみよう。 今、X, Y, 2種類の製品を生産している工場があると仮定す

3.
*製品は、a, b, cの3工程を経て完成する 各工程でそれぞれの製品(1個)の生産に要する時間は下表の通り。 各工程での稼働能力の最大時間は下表の通り。

-X、Yの製品1個を完成させると、それぞれ下表の利益が生じる。 以上の条件を仮定し、この工場で最大の利益を得るにはX、Yをいくつ 産したら良いか。

生産に要する時間 能力
製品 |
Y製品 (最大稼働時間)
a工程| 5時間| 3時間 400時間 b工程 4時間 ! 4時間 400時間 c工程 | 3時間 | 6時間 500時間 利益 8万円 | 6万円 この問題を解くには、まずX, Y製品の生産数をそれぞれx個,y個とする、 -22-



p23


-renia (zia. #«sxcsx3佥6.このzER大化させればよい 5 ,次のように w*4 See (13 Sinsis式 を最大 することになる グラフを用いて解いてみよ5; ams-12 LAmanzaグラフ JNanWA.L]式の枭AtAET&RKであ6.この>1,利益が最大にな な6.そこでは%=309, y sets.-紘利ax=700/)円とな5, .-Rg

(1)式のようなRGROもとで.(21式を最大化するの 形計画の


p24

(2) PERT
①アローダイヤグラム
アローダイヤグラムとは、「プロジェクトを構成している各作業を矢 表し、作業間の先行関係に従って結合し、プロジェクトの開始と完了を ード(結合点)を追加したネットワーク図である」。また、PERT( Evaluation and Review Technique)は、順序関係が存在する複数のアク テ代構成されるプロジェクトを能率良く実行するためのスケジューリング 法である。

②図示方法
1)先行作業と後続作業
後方の作業Bに対して前方の作業Aを先行作業といい、反対に前方 Aに対して後方の作業Bを後続作業という。 A B

2)結合点の順位
結合点(丸印)内の番号は左から右の順番に記入し、下に示す誤りの図のよ うに、逆戻りするような番号や経路としない。 [正] 2)C E [謝 A 4

3) 矢線の合流(結合点の分岐)
先行作業がA. B. Cのようにいくつかあるときにれちかずぺて完TL なければ、後続作業Dを開始することはできない。結合点④は合流点を示す. 1 A -24- 5

p25

4)結合点の分岐
先行作業Aが終了すれば、後続作業のB、C、Dは開始できる。
結合点② は分岐点を示す。 n®

5)ダミー作業
1つの結合点に合流する矢線は何本でも構わないが、2つの結合点を結ぶ 矢線は1本に限られる0 したがって、この場合は下図のようにダミー作業を 用いる。
ダミー作業は、仮に設けた見せかけの作業を示すものであり、点線 の矢印で表され、作業活動や作業時間を持たない(移動時間0(ゼロ))。 B,G)d 0-1-0-c-0 [誤] ③ 最早結合点時刻(日程)、最遅結合点時刻(日程)、クリティカル·パス 最早結合点時刻(日程) 各結合点(丸印)から出て最も早く作業を開始できる時刻(日程)を最早結合点 時刻(日程)という。

これを求めるには、
a)始点から求めたい結合点までの経路 に含まれる各作業の所要日数の合計値、
b)結合点に入る経路がいくつかある時 には、それぞれを合計した所要日数のうちの最大値、の2つの条件を満たす値 を算出すれば良い図表1-14における結合点④の最早結合点日程は9日となる。

2)最遅結合点時刻(日程)
作業が予定された日までに終わるものとして、各結合点に入ってくる作業が 遅くともこの日までに完了できる限界の時刻(日程)を最遅結合点時刻(日程)といい、これを求めるには、終点から始めて順次始点にさかのぼって算出され
a)終点の結合点の値から、求めたい結合点までの各作業の所要日数を、つぎつ ぎに差し引いた値、
b)結合点を出る経路がいくつかあるときは、それぞれの経 路で各作業の所要日数を差し引いた値の最小値、の2つの条件を満たす値を求 25 " B

p26
めれば良い。図表1-14における結合点③の最遅結合点日程は9日となる

(3) クリティカルパス(Critical Path)
アロー·ダイヤグラムの中で、最遅結合点日程と最早結合点日程が同じ なる作業経路を結んだものをクリティカルパスという。

図表1-14において 1 結合点を太線で結んで示した①-0-0-0-0の経路である二のクリ 。このクリテ カル·パスは、アロー·ダイヤグラムにおいて始点と終点を結ぶ最も時間のな かる最長の経路で、 工期はこの長さによって定まるので、その短縮をはかるに は、クリティカル·パス中にある作業の所要日数を短縮し、その進度を重点的 に管理すれば良いことになる。

図表1-14 作業表、パート計算を含むアローダイヤグラム
作業 名|作業|作業|先行作業|後続作業1所要日数1 (記号) |(結合点番号) 総点検| A B, C (2, 3) AID,E15 部品購入! C (2, 4) 掃除,調整! (3.5) 部品交換| E (4, 5) B.C 1組立·試験| F-I--- | DE (5.6) D. E 14-3=11 L9--l E03D →小さい方の値をとる 3| B 18 A(作 do 31所要日数) C 最早結合点日程 最遅結合点日程 840=8 9 |→ D →大きい方の値をとる --Idt0rB) →大きい方の値をとる 出典:坂本硕也著「生産管理入門」理工学社446-48 ③ CPM 一種 CPM (Critical Path Method)はPERTと同様にネットワーク手法の -26- B/ 5

p27

であり、デュポン社が開発した(ちなみにPERTは米国海軍省が開発。 CPMは、各アクティビティの標準所要時間、特急所要時間、所要時間を標 準所要時間から特急所要時間に短縮する費用(コスト)が与えられれば、所要時 間とコストの間に線形の関係を仮定して、プロジェクトの総コストを最小にす る日程計画が算定できる。PERTと同様に、クリティカル·パスを求め リティカル·パス上にある費用勾配(コスト÷標準所要時間と特急所要時間と の差異)が最小であるアクティビティを選び、日程の短縮を繰り返す。

(3)スケジューリングの手法
単一型(ジョブショップ型)の仕事についての日程計画の手法は、工程系列のタ イプによって異なる。すなわち、部品加工のような直列型の日程計画をジョブシ ョップ,スケジューリングといい、順序づけ法とディスパッチング法がある また、製品組立のような集合型(プロジェクト 型の日程計画をプロジェクト·ス ケジューリングまたはネットワーク·スケジューリングという。プロジェクト スケジューリングには、前述したPERT等のネットワーク手法が用いられる

①ジョブショップ スケジューリングの手法
ジョブショップ·スケジューリングとは、加工の目的が異なった各種の機械 と作業者から構成される職場(ショップ)にくる仕事を効率良く処理するための 計画を決めることである。仕事はいろいろな種類があり、いくつかの作業から 構成され、各作業は職場内の機械で加工される。このとき仕事を構成する作業 の加工順序が定められているとき、工程系列の異なる仕事を加工する職場をジ ョプショップと呼んでいる0

 また、ジョブショップ·スケジューリングにおいては、ジョブごとに工程順 序、加工時間、納期が、スケジューリングによりこれらが変化することはない、 という前提条件がある。また、各工程の機械台数は1台で、他工程との代替性 はないし、1台の機械で同時に加工できるのは1ジョブであり、各工程は前工 程の完了後でなければ着手できないことになっている

②フローショップ
スケジューリング フローショップとは、すべての仕事(ジョブ)について、機械設備や装置の利 用順序が同一である工場あるいは生産形態をさす このフローショップは、すべてのジョブについて実行されるべき作業が類似 のもので、その作業順序に従って機械が配置されている多段階生産システムで ある。
したがって、全ジョブは機械配置に沿って一方向に流れることになる。 27

p28

● ジョンソン(Johnson)の方法
スケジューリング手法の一例として、ジョンソンの「2台の機械に 類のジョブを同じ順序でかける場合の順序づけ問題」について説明する これは、日程計画問題のなかで最も基本的なモデルといわれている 前提条件の下で最初に仕事を始めてから完了するまでの経過時間を る加工順序を決定する方法である。

【前提条件】
*使用される機械は、M1, M2の2台である。バ
*すべてのジョブはM 1 →M 2の順序で加工される。
*ジョブの数はn (有限)である。 加工時間は一定で既知である。

【決定手順】
*加工時間の1番短いジョブがM1にあれば、処理順序を1番目にもって くる。M2にあれば最後にもってくる。 , 2番目に小さい加工時間のジョブがM1にあれば、そのジョブを2翻 に、M2にあれば最後もしくは2番目にもってくる。
*以下同様の方法を繰り返す。

〔範例〕
ジョンソンの方法 製品A,製品B.製品Cを2台の機械M1,M2で加工するスケジュールを考える。
加ェ は、M1-M2の順で行わなければならない。各製品をそれぞれの機械で加工するのに要す る時間は次のとおりである。

M1 | M2 製品A | 60分| 70分 製品B | 50分| 30分 製品C | 20分| 40分 ジョンソン(Johnson)の方法を用いて、すべての製品が加工完了するまでの総所要時間を 最小にする製品の加工順序、このスケジュールを実施した場合の加工時間を求めよ。

【解法】
*加工時間の1番短いジョブがM 1にあれば処理順序を1番目,M2にあれば最後。
* 2番目に小さい加工時間のジョブがM1にあればそのジョブを2番目に、M2にあれ! ョブを2番目に、M2にあれば -28-


p29

後もしくは2番目。 以下同様の方法を繰り返す
〔ステップ1)
 烹st の加工時間のうち最小の仕事をみつける。この場合は加工時間20分が最小である。

[ステップ2]
 もしそれが機械M1(前工程)の方にあればその仕事は順序の先頭におく0もしそれが機械 M2(後工程)の方にあれば、順序の最後尾におく。この場合は機械M1であるから、製品C は...番最初に行う @j_O----O

〔ステップ3〕
その製品(C)の2つの時間を消し、その仕事を考慮の対象からはずす。

[ステップ4]
ステップ1にもどり、残った加工時間のうち最小のものを見つける。以下繰り返す。 加工時間が30分が最小となる。この場合は機械M2であるから、製品Bは一番最後に行う。 翻 残ったものを空いた場所へ入れて順序を完成させる。 A B 100 200 M 方の機械のみで作業している時間を短くする C→A→B、総所要時間180分 29 C M


p30

亠座2TJE,制 ここでは「統制」の意味を, rai画と実績14比較1 c., nama かみ対策をうち、あるいは計画を修正するために計画部門にフィー と」とする。 生産統制は、工程管理機能の1つであり!生産計画と対応す るt,の, 作業手配,分配進度管理?現品管理,余力管理で構成されている 画に基づいて作業を割り振り、進捗具合や生産能力の過不足を統制,調整し の状況を管理することである。

(1)差立
差立とは、「ある機械·設備で、一つのジョブの加工が終わったとき, エすべきジョブ(作業)を決定し指示する活動。作業手配ともいう+1 (JIS Zhu -1203)とJI Sで定義されている。この差立01な機能に,作業手配 ト作業 とがある。作業手配は生産計画の内容を関係部署に指示,命令することでお 作業分配は計画を実施に移すために各作業者、各機械に作業を割り振ること ことを う。現場の実務では、作業伝票等を作業管理盤に差し立てることから 呼ばれている0
差立盤(作業管理盤)には、各作業者,各機械に

①現在作業+.
②準備が完了し 次に作業する、
③準備中の別に状差し形状のボックスが用意されている.:: 入っている伝票で作業者は何をやるかがわかり,管理者も 目で現,次作酁把 握できるなお、作業者は作業が完了すると現品とともに伝票を付けて次工程に 送り、次の伝票を①に移し作業を開始する

③の伝票は準備が完了すると,粒 担当者によって②に移される。差立盤は主に個別生産で利用されている。 図表1-15 差立盤 出典:玉木欽也著「戦略的生産システム」自桃書风,m -30!!


p31

(2)進捗管理(進度管理)
進度管理は、「 理は、「仕事の進行状況を把握し、日々の仕事の進み具合を調整する活 であり、進捗管理や納期管理ともいう」(JIS Z 8141-4104)と11 sで定義さ 動 れている。日程 ている。日程計画に応じて納期を維持するために、日々の仕事の進度を統制し ていくものである。

進度管理の仕事の流れは、①
進度調査、
②進遅判定(進んでいるか遅れている かをチェック)、
③遅延対策(原因を調べ対策を立てる)、
④回復確認(遅延が回復 しているか)で進められ、日々このサイクルの繰返しになる。

①主に個別生産方式で使われる管理図表
ガント·チャート 横方向に月·週·日等の時間的要素を、縦方向に品種、人、機械、工程等 の名称をとり、それぞれ予定欄と実績欄を設ける。予定欄に作業開始予定日 と作業終了予定日を打点し、その間を線で結ぶ。同様に実績欄に進行にした がって線を引き足していく。両欄を見比べて進遅の具合がわかる。

図表1-16 ガントチャートの例
製品名生産予淀数1区分14月 6月 予定ー ー 干ー1 ー 実績 予定 乙130 実績 予定 丙160 実績 予定 丁 | 10 実績 〔注〕『:作業開始 ﹃:作業完成予定日-:進行の累計 (D :調査時を示す ;機械の故障を示す一:各Aの予定状況 出典:「現代生産管理」(同友館)工藤市兵衛他著,P77

2)カムアップ·システム
作業指示ごとに1枚の伝票を日付順(着手日等)に、箱やキャビネットに立て て並べたものである。例えば当日の箇所に仕切り紙を挟んでおき、当日の作業 がすぐにわかるようにしておく。これを見て進度を把握し、差異がある場合は 担当者に注意を促すことができる。 日数が経過したものは、別の書類や品物に添付されるか別キャビネットに移 -31- 甲-乙|&1丁

p32

されており、常に本日の伝票が手前にあるために調べるのが容易 やめに調べるのが容易である。 カムアップ システムは、作業の進度管理だけでなく、外注品や購入 品や購入品の 期のチェックにも使われる。

例えば、1週間前に調べて、関係者に確認, できる。この場合、その工場が連続生産方式であってもかまわない。 図表1-17 カムアップシステムの例 購買部 カムアップ 出典:「工場管理·現場用語辞典」(日刊工業新聞社),P49

 ②主に連続·ロット生産方式で使われる管理図表
1) 製造三角図(斜線式進度表)
グラフのヨコ軸を時間軸に、タテ軸を累計の生産数量にし、まず予定の累 計生産数量の線を引く。特殊なことがなければ、原点と最終日の累計生産数 量とを結ぶことになる。次いで日々の生産実績累計を線で結ぶと折れ線グラ フになり、予定線との比較をして進度管理する。予定線や実績線とヨコ軸(9 テ軸でもよい)との間が三角形に見えるため製造三角図と呼ばれている。
図表1-18 製造三角図 1.20 1.100 1.00 600- 40- ,材料切れ 産50 A51015202530 日付(休日を除く)
→ 出典:玉木欽也著「戦略的生産システム」白桃書房,P69 -32- 200 100 000 900 800 700 600 500 400 202 500 200 100 0A


p33

2) 流動数曲線
流動数曲線は、生産期間の実態を調査する一手法で、受入数と払出数のそ れぞれの累計値を時系列によりプロットし、受入数と払出数の差により停滞 期間や仕掛残を求める。ヨコ軸を時間軸に、タテ軸を生産数軸にして、まず 受入(前工程からの受入等)累計数をプロットし、折れ線で結ぶ。次いで完成 (次工程へ送る等)累計数を同様に作成する 上下の線の差でその時の仕掛り残(流動数ともいう)が、左右の線の差で仕 掛り期間(停滞日数)がわかり、これによって進度を管理するものである。
図表1-19流動数曲線 受入累計線 600 ←生産期間 (仕掛日数) |完成数累計線] 100 日付(休日を除く) → 出典:玉木欽也著「戦略的生産システム」白桃書房,P69

(3)現品管理
現品管理とは、「資材、仕掛品、製品などの物について運搬·移動や停滞,保 管の状況を管理する活動。」(JIS Z 8141-4102)とJ I Sで定義されている。現品 の経済的な処理と数量、所在の確実な把握を目的とするものである。 これらの品物は、たえず移動しており、いつの時点で、何が、どこに、どれだ けあるかを正確につかまえておかないと、進度管理をはじめとする諸管理に支障 をきたすだけでなく、破損品や紛失品も増えて経済的なロスも多くなる。 これを防ぐための現品管理の着目点は次のようになる。

①保管場所、保管方法の確立
②標準数量の明示(ある特定の工程での仕掛り品の在庫数はいくつか、など) -33- ←累計生産数


p34

③担当者の決定
④現品の名称,数量の明示
⑤適切な容器の利用
⑥不良品や損傷品の確実な処理


(4)余力管理
勑管理は、「各工程又は個々の作業者について、現在の負荷状態と現有能, とを把握し、現在どれだけの余力又は不足があるかを検討し、作業の再配分 の再配分を行 って能力と負荷を均衡させる活動。」(JIS Z 8141-4103)とJ I Sで定義されてい る。人員や機械の能力に対する日々の負荷を調査し、工程の過不足を調べ、作業 量を平準化して進度の適正化を図るものである。

(5)事後処理
現場における工程管理の一機能で、生産実績等を記録 集計し、その資料を管 理することをいう。これは、原価計算や賃金計算の基礎資料となる。


5 工程管理システム
工程管理システムを決定する最も大きな要因は、生産形態や生産方式であり、こ れらにより採用する工程管理システムが異なってくる。 機械工業の工程管理の基本的なシステムは、①製番管理方式、②常備品管理方式、 ③流動管理方式の3種類に分けられ、ほかに製番管理方式の応用型である追番管理 方式がある。

(1)製番管理方式
個別生産やロット生産の場合に用いられる方式で、製造命令(オーダー)に基づ いて、そのつど命令の数量だけ作る方式をいう。この方式は、引当部品や高価格 品で、必要のつど必要量を手配すれば、必要時期に間に合うものに適用される。 JISにおいては、「製造命令書を発行するときに、その製品に関するすべての 加工と組立の指示書を同時に準備し、同一の製造番号をそれぞれにつけて管理を 行う方式」(JIS Z 8141-3211)と定義されている。 この方式では、注文のあった製品ならびに部品に対して、注文単位あるいは製 造単位に製造命令が発令されるが、これら製造命令の各々に製造番号が付けられ、 この番号を使って管理運営が行われる。また、不要不急な部品や製品を生産しな いことから、在庫は発生しないことになる。 -34-

p35

(2)常備品管理方式
使用頻度の高い部品や継続的に使われる部品につい で見込生産や調達を行い、適切な量の在庫をもって需要に対応するのが効 的に使われる部品については、一般に経済的発注量 率的である。この このような方式を常備品管理方式という。比較的安価な部品に利用 とが多いが、適切な運用を怠ると、不要不急な品物の在庫が増え、 な品物が欠品するという状況になってしまう

(3)流動管理方式
流動管理方式は、連続生産または多量生産において用いられる管理方式である。 多量生産であっても生産実績数は一定でなく、日々変動するその要因には不良 品の発生や作業者の欠勤などがある) これらの要因による生産量の変動をすべて 仕掛品の増減によって吸収しようとするのが特徴である。つまり、この方式は、 仕掛品を適切に保持することにより、生産の安定と管理費の節減を図るシステム といえる。

(4)追番管理方式
ロット生産のように同一品を継続して生産する場合、製番管理方式でロット単 位に管理しようとしても困難である。つまり、ロット数が増え、ロット分割、不 良手直し、部品の他製品への流用などが起こると、ロットサイズが乱れるため、 正規のロットを維持出来なくなってしまう。 その対策として、追番管理方式があり、完成品の生産量を累計生産台数で管理 する。すなわち、最初の1台目から順に一貫した番号(追番)をつけることで、計 画累計数と実績累計数の差から作業の進遅や仕掛数などを容易に知ることができ る。

(5)部品中心生産管理方式
モジュール生産方式ともいい、「部品又はユニットの組み合わせによって顧客 の多様な注文に対応する生産方式」(JIS Z 8141-3205)である。つまり、複数種 類の部品を組み付けたモジュール部品をあらかじめ組み立てておき、受注後にモ ジュール部品の組み合わせによって多品種の最終製品を生産する。これにより 組立工程で取り扱う部品点数の削減、組立工程の圧縮によるリードタイムの短縮、 製品品質の安定が期待できる。 この部品中心生産管理方式では、受注情報に基づくさまざまな処理をコンピュ を介してリアルタイムに処理する。このように受注情報をリアルタイムにコ タ ンピュータ入力し、部品展開、部品引当、資材手配、組立日程の作成などの受発 35


p36

注業務を受注時点に行うシステムのことをオーダーエントリーシステム(order entry system)という。

(6)生産座席予約方式

「受注時に、製造設備の使用日程·資材の使用予定などにオーダを割り付け 顧客が要求する納期どおりに生産する方式」(JIS Z 8141-3207)とJ I Sで定義 されている。つまり、製造工程を一種の座席と見立て、営業部門があたかも列車 や飛行機の座席を予約するような感覚で、顧客の希望する製品の出荷を予約する 方式である。 この生産座席予約方式では、製造部門(生産部門)と販売部門とで、互いに取り 決めたルールを厳守していくことがこのシステムが円滑に稼働するためのポイン トである。 -36-

p37

·作業管理 「作業管理」の全体像
作業の改善
作業標準の設定
作業管理の業務 作Roma化 |作業の標準化 時間の設定 作業標準の維持 管理 (作業の統制 (標準時間の維持·管理 流れ工程分析(工程分析) 作業工程分析 製品工程分析 工程系列の分析手法ーーー 経路分析(加工経路分析) 流れ分析
作業者工程分析
方法研究1
作業系列の分析手法 組作業分析 連合作業分析 (作業者一機械分析 サーブリッグ分析 動作系列の分析手法 〔フィルム分析:ビデオ分析 両手動作分析 作業研究 動作経済の分析 時間研究→ ストップウォッチ法(レイティング必要) WF法 PTS法(レイティング不要)

(MTM法 作業測定 MODAPTS法 し稼働分析一一-Csar 稼働分析 /連続観測法(ワークサンプリング法) 稼働分析----G間観測法(ワ 次のような分類もある ストップウオッチ法 直接測定法 (VTR法 -竹ンプリング 作業測定 標準資料法 間接測定法 PTS法 ※直接測定法作業の時間的経過を直接観測することによる標準時間を 決める方法レイティング(平準化)が必要。 間接測定法これまでの測定値や経験的数値などを集めて分析し、要 素作業別基礎時間資料を作り、この資料を用いて標準時 間を求める方法。レイティングの必要なし。 作業は、 物品に所要の変化を与える、あるいは無形価値(サービス、知識等)を作 り出すために行 われる人間、機械の動きである。この作業を設計,計画、実施、統 -37-

p38

my、評価する活動が作業管理である. IISにおいて、作業管理とは はr 分析,改善によって、標準作業と標準時間を設定して、この標準を維持 する 活動体系。」(JIS Z 8141-5101)と定義されている。 この人間の行う作業を管理する際の基本となる作業順序や時間を定量的に めに、テイラー(FW.Taylar)の時間研究、ギルブレス(FB.Gilbreth)の動作研究 泉とした作業研究が発展した。 を このうち、作業研究とは、作業システムを対象とする ンジニアリング活動Th る。そして、その活動の遂行にあたって、方法研究ならびに作業測定という2種 類 の技法ないし手続きを適用することであると定義されている。この方法研究な60 に作業測定という2種類の技法は、今日のIEの基礎となった。

I E (Industrial Engineering:経営工学)は、適訳がなくそのまま Eまたはイン ダストリアル·エンジニアリングと呼ばれている○ JISにおいては、「経営目的 を定め、それを実現するために、環境(社会環境及び自然環境)との調和を図りなが 人物(機械·設備、原材料、補助材料及びエネルギー)、金及び情報を最適に 設計し、運用し、統制する工学的な技術·技法の体系。」(JIS Z 8141-1103)と定義 されている。

このIEは、4M(人、機械、材料、方法)を活用し、生産過程を合理 化,改善することにより、生産性向上を図るものである PI, 方法研究(工程分析·動作研究) 方法研究(Method Study)とは、「作業又は製造方法を分析して、標準化、総合化に よって作業方法又は製造工程を設計,改善するための手法体系。」(JIS Z 8141-5103) いう。この方法研究の内容は主として、生産対象が生産工程を移動する面から分 をする工程分析、工程における個々の作業について作業方法を分析する作業分析. 作業方法を作業者の動作によって分析する動作分析から成り立っている

(1)工程分析(流れ工程分析)
工程分析は,作業研究の基本的な分析手法の一つで、「生産対象物が製品にな る過程、作業者の作業活動、運搬過程を系統的に、対象に適合した図記号で表し て調査·分析する手法。」(JIS Z 8141-5201)である。つまり、原材料が投入され 製品になるまでの変化の過程を「加工」、「運搬」、「停滞」、「検査」に区分し、 それらを工程図記号で表し、方法、時間、距離などを付記して工程図を作成し、 工程の改善や標準化を行う手法である 工程研究ともいう 38

p39

図表1-20 工程図記号《基本記号 JIS Z 8206)
要素工程1記号の名称|記 号) 意 原料、材料、部品または製品の形状、性質に変化を ェ 加工 与えていること 原料、材料、部品または製品の位置に変化を与えて 搬1運搬 いることを示す。0の代わりに を用いても良 原料、材料、部品または製品を計画により貯えて 貯蔵 ることを示す 停滞 原料、材料、部品または製品が計画に反して滞って 滞留 いる状態を示す 原料、材料、部品または製品の量または個数を測っ 数量検査 て、その結果を基準と比較して、その差を求めてい 検査 原料、材料、部品または製品の品質特性を試験し 品質検査 その結果を基準と比較して、ロットの合格,不合格 または製品の良·不良を判定していることを示す

 図表1-21 工程図記号(補助記号 JIS Z 8206)
記号の名称|記号 考 意味 備 順序関係がわかりにくいときは、 流れ線の端部または中間部に矢印 要素工程の順序関係を表す を描いてその方向を明示する。流 流れ線 れ線の交差部は一か で表す 区分1vvww |工程系列における管理上の区 分を表す 略ーーーーー工程系列の一部の省略を表

p41

(2)作業工程分析
製品·部品につ 品について一連の作業(加工と検査)の流れをとらえ分析する手法をい う。

(3)製品工程分析
生産対象の物を 対象の物を中心に、原材料、部品などが製品化される過程を工程図記号 「生産 で表して調査·分析す 調査 分析する手法。」(JIS Z 8141-5202)である。製品工程分析の応用 として、工場 工場配置図上に示した流れ線図、工程間の物の流量を“どこから(fro 型 “どこへ(to)"の形式で分析するフロムツウチャートがある。フロムッ チャートとは、多品種 トとは、多品種少量の品物を生産している職場の機械設備及び作業場所の 配置計画をするときに用いられるものである。

図表1-23 フロムツウチャート
せん断 プレス 穴あけ1研摩1熱処理1塗装 検査 せん断 3001 80 150 | 280 | 40 | 100 プレス 穴あけ 180 50 | 70 研摩 28-110 熱処理 801200 塗装 検査 工程間の物の流れの大きさをまとめたもので,単位は運搬重量または 運搬回数を用いる. 出典:「工程管理ハンサック」日刊工業新聞社P430

(4)経路分析(加工経路分析)
共通的な工程系列を見いだすために、対象部品群について加工工程のみによる 工程系列表をつくり、そこから共通的な工程を見いだして工程設計や作業負荷均 ー化への資料にしようとするものである。
下図は、加工経路分析の一例であり 作成した図を経路分析表もしくは加工経路図と呼ぶ。この図から、軸、歯車、カ バーでグルーピングできることがわかる。 -41-


p42

図表1-24 加工経路分析図
ーーーー19 -CM-S42 出典:大野勝久他著「生産管理システム 朝倉書店 工程分析図では、作業場内で物が実際の空間をどのように動いているかはわか

(5)流れ分析
らない。そこで、作業場の配置図の上に工程図記号を記入し、人,物の動きを経 路順に線で結ぶとこの関係が明らかになる。つまり、流れ分析は、加工対象物が 工場内を流れて行く経路や、作業者が工場内を移動する経路を、工場レイアウト 図や機械配置図 の上に線図で分かりやすく記入して分析するものである。この 析によって得られる図を流れ線図という。 流れ線図では、人·物の動きがビジュアルにわかるため、運搬の分析にはきわ めて有効であふまた、線の交差の程度,頻度あるいは逆送の具合により、人や 物の流れの錯綜具合が確認でき、レイアウトの改善に役立つ。

図表1-25 流れ線図 検査機 旋盤 5)|焼入れ機 フライス盤 ,倉庫 出典 坂本碩也著「生産管理入門』理工学社,P5i

p43

(6)作業者工程分析
の作業者を中心に作業活動を系統的に工程図記号で表して調査,分 産主体の 析する手法。」(JIS Z 8 」(JIS Z 8141-5203)である。作業者工程分析の応用型として、作業 場配置図上に作業者の 作業者の移動を中心に示した糸引き線図(ストリング,ダイヤグっ gnがある。つまり、作業者が行っている作業の内容 「作業」、「移動」、「手待 ち(遅れ)」、「検査」について記録 分析することであり、作業台のレイアウト 作業手順、作業動作などを改善するために行われる。

図表1-26 作業者工程分析 作ー内ー-TRT TTET丽T丽TEGE-T SL&の鵙 101→1▽ 0.12 2.5 阳或4 -8勵 101ST▽ □ILNIL.a 01 出典:大野勝久他著「生産管理システム』朝倉書店, P31 (7)連合作業分析 「人と機械、二人以上の人が協同して作業を行うとき、その協同作業の効率を 高めるための分析手法。」(JIS Z 8141-5213)をいう。 -43-


p44

連合作業分析の…種で、2人以上の人が協同(連合)して 協同(連合)して作業を行うとき
①組作業分析
の協同作業の効率を高めるための分析手法をいう。
組11 いう。組作業の作業方法や 置を改善するために用いられる(

② 作業者(人)-機械分析
連合作業分析の一種で、人と機械が連合 (協同)して作業を行うとき - 合作業の効率を高めるための分析手法をいう。この分析では、作 作業者の作業と そのa y析し、人と成した図を人,機械 機械の組み合わせに 機械の稼働状態の時間的関連を図表に記録·分析し、人と機械との よって生じる両者σ)不稼働時間を改善する。そのために作成した城み合わせ 図表(man-machine-chart)と呼ぶ。

図表1-27 人、機械図表 チ階ち , 90 手降ち E332523 作業着は aMuin ZZA 作業者は手持ち.nM6手持ち 作Rauama.nM,は手扱い 出典:「生産管理実務便覧通産資料調査会,P105 44


p45

8)動作研究
動作分析とも呼ばれ、「作業者が行うすべての動作を調査、分析 研 動作 な作業方法を求めるための手法の体系」である。これにより作業の改善

①サーブリッグ分析
ッグ分析は、作業者の作業を直接観察し、繰返し性のある時間の短 業に適用され、ギルブレス(F.B.Gilbreth)が開発した手法である。動作の 単位 を「サーブリッグ」と呼び、18の基本動作要素(図表1-28参照)に分かれて に いる0

②フィルム分析
映写機(8mmや16mm)を使って動作や作業時間を調べるもので、通常の撮影速 度に対して、速いスピードで撮影し、あるいは遅いスピードで撮影して通常の 速度で分析を行う手法をいう。

③ビデオ分析
ビデオ装置を利用した分析手法であり、分析用機材の技術進歩により、フィ ルム分析に代わり主流となった。このビデオによる分析の特徴には、1)撮影後 直ちに再生して見ることができる、2)通常速度で撮影したテープを、コマ送り スロー、早送りなどで再生出来る、等がある。

④両手動作分析
作業を観察し、両手の動作の順序ややり方を、両手を関連付けて把握し、工 程図記号又はサーブリッグ記号を用いて図表化し、動作の順序や方法の問題点、 手待ち、ムリ ·ムダな動作などを見つけ、改善するための手法である。

⑤動作経済の原則
動作経済の原則とは、「作業者が作業を行うとき、最も合理的に作業を行う ! ために適用される経験則。」(JIS Z 8141-5207)である。はじめギルブレスが提 唱したものであるが、その後、他の研究者が追加·修正したものである。

動作経済の原則は、
1、身体の使用に関する原則、
2.作業場所の配置に関する 原則、
3,設備,工具の設計に関する原則の3つを軸に、
1)基本動作の数を減ら
2)動作を同時に行う、
3)動作の距離を短くする、
4)動作を楽にするの4つ をもう1つの軸にしたマトリックスで表している。この交点に具体的な動作例 の改善方向を記入したものである(図表1-29参照)。 -45


p46

図表1-28サーブリッグ記号
R号の意味 TE |乀ン|空の皿の形 go ものをつかむ形 のを つかむ 手を 皿にものを載せた形 transport | TLI\01 ものを組み合わせた形 U | U |使う(use)の頭文字 組み合わす 合わず 組合せから1本取り去った形 使う disassemble | DA 分解する からものを落とす形 release レンズの形 調べる ー1 1眼で SHI①1眼でものを探す形 探す F 眼でものを探し当てた形 見出す ものが手の先にある形 位置決め STーーー指し示した形 選ぶ 煩ーるー PN - 頭に手を当てて考える形 前置き pre-position PP |()|ポーリングのピンを立てた形 保持 |hold |HIM磁石がものを吸い付けた形 休む 人が椅子に腰掛けた形 避けられない遅れ unavoidable UD I/0人がつまずいて倒れた形 delay avoidable | AD |L-01人が寝た形 避けられる遅れ ! avoidable 第1類:仕事を進めるのに必要な要素 第3類:仕事が進んでいない要素 第2類:これがあると、第1類の要素を遅くする傾向のあるもの 出典:甲斐章人「中小企業のための生産管理の実際」日本経済新聞社PI


p47

図表1-29 動作経済の原則 rs本原則①𣻺本動作の数を減らす一

2 動作を同時に行う13Mの距離を くする Tam作を楽にす 4動作を楽にする 二ㄧ百 ㄧ探す ㄧ運ぶ前置きーー待ちー保持力ㄧ発生し 不e Wに大きー動き 耍絜動作の数を減 :身体のle: 不 要な動作を排 手を同時に動かーり作は最適最低身0作は制限のない 使用に関|除せよ しはじめ同時に終1 体部位で行え 楽な動作に近づけ する原則1.11の動きを少なく! われ
●動作は最短距離で!
●両手を同時に反対! 行え
●動作は重力や他の 2つ以上の動作の 対称方向に動かせ 力を利用せよ 結合を考えよ
●動作は慣性力や反 発力を利用せよ 動作の方向やその 換は円滑にせよ 作業場!
●材料や工具を作業!
●両手の同時動作が0作粢域は作業に支 作業位置の高さを の配置に|者の前方一定の場!できる配置にせよ!障のないかぎりせ 最適にせよ 関する原! 所に置け まくせよ 材料や工具を作業 順に合わせておけ
●材料、工具を作業し

3.設備
材料、部品の取り ●対象物の長時間の10材料の取り出 定の運動経路を 工具の設! やすい容器や器具1 保持には保持具を1 送りだしには重力 規制するために、 計に関す!を利用せよ 利用せよ を利用した器具を1 治具やガイドを利 る原則 1
●機械の移動方向と1·簡単な作業または1 利用せよ 用せよ 操作方向を同じに! 力を要する作業に!
●機械の操作位置は1
●握り部をつかみや せよ は足を使う器具を1 動作の最適最低身! すい形にせよ
●2つ以上の工具を1 利用せよ 体部位で行えるよ!
●見える位置で楽に 1つに結合せよ 手の同時動作が1 うにせよ 位置合わせできる 治具への締付けに!できる治具を考え 治具にせよ は動作数の少ない! よ 機構を利用

※2 作業場の配置に関する原則
1)正常作業域と最大作業域
2)細かい作業に対する作業域
3)両手同時対称作業に対する作業域 →実線の内側が最大 作業域 →網掛け部分では細かい →網掛け部分では目の動きを 点線の内側が正常作業域 作業が可能 伴才 伴わず両手同時に左右対称

4)垂直方向の作業域
に動かすことができる。 → 垂直方向における手を伸ばしうる最大範囲(実線)と 肘を支点にした作業範囲(点線) 出典:甲斐章人「中小企業のための生産管理の実際」日本経済新聞社PM -47-


p48

p2作業測定(時間研究ー稼働分析)
作業測定とは、方法研究と ともに作業研究を構成しており、「作業又は製 の実施効率の評価及び標準時間を設定するための手法。」(JIS Z 8141-5104)をいち 法

(1)時間研究
時間研究は、「作業を要素作業又は単位作業に分割し、その分割した作業を 行するのに要する時間を測定する手法。」(JIS Z 8141-5204)である。ここで 素作業とは、単位作業を構成する要素で、目的別に区分される最小の一連の動作 又は作業であり、基板をとって所定の位置にはめる、ネジを締める、等の作業で ある。また、単位作業とは、一つの作業目的を遂行する最小の作業区分であり 例えば機械部品の切削工程では、部品取り付け、粗削り、仕上げ削り、計測など である。
この時間研究の目的は、生産活動の計画と統制の基本的尺度として活用する作 業時間を設定することであるが、作業分析では作業改善と標準化、標準時間の設 定が主たる目的となる。

①標準時間の意義
内容 標準時間は、「その仕事に適正をもち、習熟した作業者が、所定の作業条件 のもとで、必要な余裕をもち、正常な作業ペースによって仕事を遂行するため に必要とされる時間。」(JIS Z 8141-5502)をいう。 この標準時間は次のような各種の管理分野に活用される。

·設計の基礎資料 生産計画、日程計画、工数計画の設定や統制 作業方法の改善 ·作業者訓練の資料 · 原価計算の基礎資料 外注単価の見積り用 レイアウトや運搬計画の資料 ,能率給の基礎資料


②標準時間の構成
標準時間は、次の図表に示したように正味時間と余裕時間で構成されている。 ロット生産,個別生産では段取り時間(生産アイテムの変更にともなう準備 時間…型替え等)を含めなければならない。 -48-


p49

標準時間 正味時間+余裕時間 =正味時間x(I+余裕率) ......(外掛け法) 迭 ※余裕率=余裕時間/正味時間 標準時間 正 =正味時間/(1-余裕率) ……(内掛け法) 味 ※余裕率 余裕時間/標準時間

 図表1-30 標準時間の構成
正味時間ーーーーー付随作業時間(取りつけ、取り外し等) 主体作業時間(直接に生産·加工に要する時間) 標準時間- 一作業余裕(掃除、片付け) )子管理余裕ともいう 一職場余裕(連絡) 余裕時間 -疲労余裕(小休止) -用達余裕(水のみ、トイレ) (ロット生産) : (1個あたりの ー正味時間(1個あたりに割り振られた正味時間) 段取り時間- 余裕時間(1個あたりに割り振られた余裕時間)  余裕時間 「標準時 「標準時間の構成」 準備段取時間 『製品を製造するうえで部品や材料に直接加 正味時間 工を行うための時間である主体作業時間と それに伴って発生する2次的な時間である準 余裕時間 備段取作業時間に分けられる。さらに、主体 作業時間は、部品や材料を直接的に変質変形 させている主作業時間と、それに付随して発 正味時間 生する付随作業時間に分けられる。』(JIS)

③標準時間を求める手法 標準時間は上図の各時間が求められれば決定できるが、その求め方はいくつ かある -49- 主体作業時間 標準時間

p50

説明
1)経験見積法 |経験をも とに見積もる 精度は②以下に比一落ちる 資料法--過2 の日報等の時間を集計。正確性には欠ける

②実績
③時間研究法
ング係数(習熟度の修正)をかけて算出 ストップ ウォッチ 去ともい,い、1時間研究の結果を帆 レイティ 作業を要素作業又は単位作業に分割しitストップウォ 用いて要素作業又は単位作業に要する時間を直接測定すチを 法。』(JIS Z 814 1-5205) レイーーー201S2 8141-5508) 『時間観測時の作業速度を基準とする作業速度と 評価し レイティング係数によって観測時間の代表値を正味 値を正味時間に 正する 連の手続き。 備考:正味時間は、レイティング係数を用いて次の式で示さ れる. レイティング係数 基準とする作業ペース/観測作業ペース 正味時間 観測時間の代表値×レイティング係数』

④PTS法 Predetermined. Time Standardの略で,動作分析の各要素に基 各要素に基準時間 を割り当てて合計する、レイティングの么要がない 『人間の作業を、それを構成する基本動作まで分解し、その基本動作の 性質と条件に応じて、あらかじめ決められた時間値から、その作業時間を 求める方法。』(JIS Z 8 1 4 1-5209)

⑤標準時間資料法1 企業内の微動作の基準時間から新作業の微動作の組合せによって 間を合計する。(動作分析はしない) 『作業時間のデータを分類·整理して、時間と変動要因との関係式を数 式、図、表などにまとめたものを用いて標準時間を設定する方法。』 (JIS Z 8141-5506) レイティング レイティングとは、「時間観測時の作業速度を基準とする作業速度と比較 評価し、レイティング係数によって観測時間の代表値を正味時間に修正す る一連の手続き」をいう。標準となる作業速度を100%と評価し、それより 速ければ100以上、遅ければ100以下の数値で表す。

2) PTS法
「人間の作業を、それを構成する基本動作にまで分解し、その基本動作の 性質と条件に応じて、あらかじめ決められた基本となる時間値から、その作 業時間を求める方法」である。ストップ·ウォッチ法と異なり、レイティン グが不要であることが特徴である。このPTS法には、WF法、MTM法、 MODAPTS法がある。 50-



p51

PTS法の手法 意味 に影響を及ぽす変数を考慮して作業時間を求める方法である 肉体 WF法(Work Factor method)は、基本動作、動作距離及び動作時間 的動作時間に影響を及ぼす変数として.

①使用する身体部位,2 肉体
②動 作距離、
③重量又は抵抗,
④動作の困難性(一定の停止、方向調節 注意、方向変更)の4つを取り上げ、この4つの主要変数の組み合わ せによって作業時間を求める。 MTM法(Method Time MeasurementSystem)はー基本動作一動作 MTM法 MTM法(Method Time Measur montーーーーーーーーーーーーー A 離及び条件に応じて作業時間を求める方法である。動作時間を求め る基本動作として、手を伸ばす、つかむ、運ぶ、放す、定置する 引き離す、眼の移動、目の焦点合わせ、胴、脚及び足の動作などに、 動作のタイプを分けて分析する ODAPTS法 APTS法 MOD A P T S (modular arrangement of predetermined time 法は、「手を伸ばす」rつかむ」「運ぶ」「置く」の動作を基本動作サイク ルと呼び、「手を伸ばす」「運ぶ」動作を、手が移動するということで 『移動動作(movement activities)』、「つかむ」「置く」を、移動動作 の最後になされる動作ということで『終局動作(terminal activities)』 と呼んでいる。そして、この移動動作と終局動作との組み合わせを 一つのモジュールとして分析し、作業時間を求める方法である。

(2)稼働分析
稼働分析は、「作業者又は機械設備の稼働率もしくは稼働内容の時間構成比率 を求める手法。」(JIS Z 8141-5210)をいう。
稼働分析 の代表的な利用例は、
1)作 業者のさまざまな行動を作業の種類別にとらえ、その構成比率を知る、
2)作業者 や機械設備の稼働状態の比率を求める、
3)作業者や機械設備の非稼働要因を探し、 それを削除又は排除する、
4)標準時間に占める余裕の比率を決定する、
5)標準時 間を設定するための資料を得る、などがある。

①稼働分析の代表的な手法
1)連続観測法
「作業者又は機械設備の稼働状態を長時間にわたって連続的に調査·分析す る手法。」(JIS Z 8141-5211)をいう。長時間観測、手間がかかり、被観測者が 意識するという欠点あるが、詳細研究には必要である。 2)瞬間観測法 「作業者又は機械設備の稼働状態を行動分類に従い、長時間にわたり瞬間的 に度数によって調査·分析する手法。」(JIS Z 8141-5212)をいう。瞬間観測法 の代表的手法として、確率·統計理論に基づいて観測回数と観測時刻(ランダ ムな時刻を決めて観測を行い、観測項目の比率を推測するワークサンプリン 51


p52

グ法がある。つまり、短時間の観測を多数することによって精度を上 ! 被観測者にプレッシャーをかけず、観測作業が容易である。

②稼働分析の計算と改善の方向
簡単な例で、機械の稼働分析の集計を図表に表す。

図表1-31 稼働分析の集計
出現回数1出現率1出現率 作業区分 (96) 小計(96) 34 1.0 準備作業 稼働|主作業 55.0 60.9 附随作業(製品、工具の取り付け、取り外し等) 163 4.9 不在 64 1.9 停止一時停止 1073 | 32.5| 39.1 休止(作業なし、作業者不在) 152 4.6 合計 3299 | 100.01 100.0 改善の方向は次のようになる。 、稼働率の数値が他の水準に比べてどの位置にあるのかを確認する。 · 作業に必要ではあるが、できれば減らしたい準備作業、付随作業の比率も同 様に比較検討する。 , 停止原因を調べ、重点的に対策を考える。 · オペレータの充実、平準化のための計画の見直し、段取り変更、治工具等の 標準化を図る、などの改善策を作成する。 -52-


p53

§6,品質管理
「品質管理」の全体像 検査段階
検査(検査の性質 全数検査 規準型抜取検査 |選別型抜取検査 品質保証 調整型抜取検査 -連続生産型抜取検査 OC曲線 消費者危険,生産者危険 ISO9000品質マネジメントシステム(基本と用語) soooo CISO 001品質マネジメントシステム(要求事項 ISO9004品質マネジメントシステム フォーマンス改善の指針 ISO19011 品質マネジメント/環境マネジメントシステム監査ガイドライン 顧客重視 リーダーツづ 人々の参画 プロセスアプローチ 品質マネジメントの8原則 | マネジメントへのシステムアブローチ 継続的改善 品質管理 意思決定への事実に基づくアプローチ (供給者との互恵関係 パレート図(重点管理) 特性要因図(原因の追及)

ヒストグラム(分布の把握) X-R管理図平均とバラツキ

メディアン管理図:中心値 QC7つ道具- 管理図 np管理図 不適合品数 (工程の管理) --管理図不適合品率

c管理図不適合数 u管理図 単位当たり不適合数 チェックシート(点検 記録) 散布図(関係の把握) 層別(グループ化による絞り込み) しー問題解決- グラフ(データの視覚化) 連関図法(原因の追及) (親和図法(問題の整理·把握) 系統図法(対策の追及) 新QC7つ道具 マトリックス図法(対策の把握) マトリックスデータ解析法(多次元データの解析) PDPC法(不測事態への対応 アローダイヤグラム(日程管理) QCサークル→ TQC → TQM -53-



p54

1、 品質 初
(1)品質とは
後述するI SO9000 : 2000(品質マネジメントシステム-基本と拜 基本と用語)では、& のように定義されている。 品質(Quality Control) 本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす程度。
※1 特性:そのものを識別するための性質 ネ
※2 要求事項:明示されている、通常暗黙のうちに了解されている 又は義 務として要求されているニーズ若しくは期待

(2)品質の分類
品質には、①製品の企画段階で決まるもの、②設計段階で決まるもの、③ 段階で決まるものがある。

種類 説明

①企画品質!企画品質とは、製品の企画段階で決まるもので、要求品質に対する品質目標を いう。つまり、顧客の要求している品質を定義し、製品コンセプトに盛り込む 品質のことである

②設計品質|設計品質とは、設計段階で決まるもので、品質特性に対する品質目標をいう。 つまり、製造の目標としてねらった品質で、「ねらいの品質」ともいう。

③製造品質|製造品質とは、製造段階で決まるもので、設計品質をねらって製造した製品の 実際の品質をいう。「適合の品質」あるいは「できばえの品質」ともいう 2, 品質管理の意義 管理にーーーーーー1ーーでは次ーーーこ定義している。「買手の要求に合った 品質管理について旧 品質の品物又はサービスを経済的に作り出すための手段の体系、品質管理を略して QCということもある。また近代的な品質管理は統計的な手段を採用しているので、 特に統計的品質管理(statistical quality control,略してSQC)ということがある。 品質管理を効果的に実施するためには、市場の調査、研究·開発、製品の企画、設 計、生産準備、購買,外注、製造、検査、販売及びアフターサービス並びに財務、 人事、教育など企業活動の全段階にわたり、経営者を始め管理者、監督者、作業者 など企業の全員の参加と協力が必要である。このようにして実施される品質管理を 全社的品質管理(company-wide quality control,略してCwQC)又は総合的品質管 理(total quality control,略してTQC)という。」

p55

初肋途査方法を工夫して、不良品を出荷しないことに努力が注がれていた(検査 の品質管理は、不良品を市場に送り出さない品質保証に重点がおかれていた 質保証),次に、不良品を作らないという工程管理による品質保証(製造に 質保証)に移り、さらに,不良品を企画しない、設計しないという源流管理 る品 保証(設計による品質保証)へと力点が変化してきている。 JISにおいては、「品質要求事項を満たすことに焦点を合わせた品質マ 現在の の一部。」と定義されている。ここで、品質マネジメントとは、品質に 織を指揮し、管理するための調整された活動をいう。 そして、品質保証が品質管理の1つの大きな柱としてある一方、ある意味ではそ 以上重要なもう1つの柱が問題解決である。問題解決は、主として小集団活動(Q Cサークル活動)による会社のあらゆる部門のムダを排除し、PQCDsを勝ち取 ろうとする活動において、主要な解決ツールになっている。 経営管理を筆 営管理を筆頭とする生産管理、財務管理、販売管理等、およびこれに連なるサ ブ 管理群がタテ軸の体系であるとすると、品質管理でヨコ軸を補強して新たな体系 を作っているともいえる。

3,検査の種類。

方法 検査とは、「品物又はサービスの一つ以上の特性値に対して、測定、試験、検定、 ゲージ合わせなどを行って、測定要求事項と比較して、適合しているかどうかを判 定する活動。」(JIS Z 8101-2-1.3)とJ I Sで定義されている。 そして、買手の要求する性能を保証するためには、品質評価の対象となる真の性 質,性能(品質特性)を検査できればそれにこしたことはない。しかし、検査に要す るコスト·時間等を鑑み、変わりの特性値で代用することがある。これを代用特性 いう。 この検査は、各種の視点からいくつかに分類されている。

(1)検査段階による分類(どの時点で検査するか)
説明 種 外注品や購入品を受入時に検査。
①受入検査(購入検査) 半製品を次工程に送る前に検査。
②工程間検査(中間検査)
③最終検査(出荷検査、完成検査、製品検査) 1製品を検査する 55


p56

(2)検査の性質による分類(壊すか生かすか)
説明 種類 破壊検査 破壊を伴う検査強度試験、寿命試験、化学分析等 破壊試験破壊を伴わない検査 寸法 重量の測定、目視検査等

(3)検査の方式による分類(全数か一部で代表するか)
明 種類 卜全てを検査。良品 不良品を分類する時、 全数選別と
①全数検査
②抜取検査| サンプルを抜き取って検査。ロットの合否をその結果で判定。

①抜取検査の種類
抜取検査では、対象となる有限の母集団(ロット)から、あらかじめ定 た抜取検査方式にしたがって、サンプルを抜き取って、測定、試験など て、その結果をロットの合否判定基準と比較して、そのロットの合格, を判定する。また、抜取検査は、対象となるアイテムすべてを調べるわ ないので、ある程度不適合品の混入が許容できる場合に使用する。 抜取検査の種類 説明 1)規準型抜取検査 |出荷側に対する保護と受取側に対する保護の二つを規 つを規定し、両者の 要求を満足するように組み立てた抜取検査。つまり、生産者危険(a) と消費者危険(β)を決めて行う検査。
(a) :合格としたい特定の良い品質(例えばpo)の検査ロットが抜取! 検査で不合格となる確率。

(3) :不合格としたいある特定の品質(例えばp.)の検査ロットが 取検査で合格する確率。

2)選別型抜取検査 1ロットに対して抜取検査を行い、不合格と判定したロットは全数 別する抜取検査。

3)調整型抜取検査 1ロットの受渡しが連続して行われる場合に、過去の履歴などの品質 情報によって、検査方式を調整する抜取検査 なみ検査、きつい検 査、ゆるい検査

4)連続生産型抜取検査|連続的に製品が生産されており、引き続き流れてくる品物に適用す る抜取検査。最初は、すべての製品を検査し、適合品が一定個数続 いたら抜取検査に移り、また、不適合品があった場合には再び 検査に戻る。

② OC曲線(operating characteristic curve) 抜取検査で、ロット品質とその合格する確率との関係を示す曲線で、検査特 性曲線ともいう。ロットの不良率を横軸に目盛ったOC曲線から、ある不良率 56 説


p57

良率)はいくらであるかなどを知ることができる。
 図表1-32 OC曲線
1.0E-S 生産者危険α 1.0 n=100 em,4 N-1000 up)8. の0.6 n=100 0.5 L(p)0 -+---- 0.4 L(p) Po |消費者危険 0123456789101112 ロットの不適合品率p (%) 1012 →ロットの不適合品率(96) 合格とした 不合格とし 出典:坂本碩也著「生産管理入門」理工学社,P133

(4)その他の検査
| 官能検査:目視等、五感を使った検査 4- I S 09000 I SO9000ファミリーは、I SO (International Organization for Standardization 国際標準化機構)が制定する品質マネジメントシステムに関する規格である。つま り、ISO9000は、組織(企業·団体)が顧客に提供する製品やサービスの品質を維 持し、向上させることを目的として定められたグローバル·スタンダードである。

我が国も含めて多くの国で国家規格として採用されている。 ここで、品質マネジメントとは、「品質に関して組織を指揮し、管理するための 調整された活動。参考:品質に関する指揮及び管理には、通常、品質方針及び品質 目標の設定、品質計画、品質管理、品質保証及び品質改善が含まれる。」とJIS で定義されている。 この国際規格を適用するメリットは次の2点に集約することができる。

① この規格を適用している企業は、顧客の側からみると、品質マネジメントシ ステムが確立しているとみなされ、その企業の製品やサービスを安心して購入 することができる。 -57- 合格の確率(p


p58

、企業は、顧客満足を向上させるための 祖みを構築出来る。あらゆる企業にとって顧客満足は、存続と成長のための

②この規格を適用することによって 組み このI SO9000ファミリーは、2000年に改訂された。 盤となる。
図表1-33 プロセスを基礎とした品質マネジメントシステムのモデル 品質マネジメントシステムの継続的改善 .........う 経営者の責任 順客 満足 測定、分析及び改善 資源の運用管理 アウトプット インプット 製品の実現 製品

(1) ISO9000ファミリー規格の構成
① ISO 9000:品質マネジメントシステム-基本と用語 ISO規格の基本的事項の理解と用語の定義についてのスタートポイントを 設定している。これらは、規格を誤って理解してしまうことを防止するのに必 要である。

② ISO9001:品質マネジメントシステム-要求事項- 効果的に顧客及び適用される法令,規制要求事項を満足し、顧客満足を目指 す組織が用いる、要求事項規格である。

③ ISO 9004 品質マネジメントシステム-パフォーマンス改善の指針- 継続的な顧客満足によって、すべての利害関係者の便益につながる品質マネ ジメントシステムを改善するための指針である. ISO9004は、品質マネジメ ントシステムを効果的かつ効率的に運営することを目指す。

④) IS 019011:品質マネジメント/環境マネジメントシステム監査ガイドライン 定められた品質目標を達成するという、組織のシステム能力を堅守するため -58 s 要求事項

p59

zianである. niauこの規8tnxsantnumentCRT きに ことができる。 (Z,a質マネジメントの8原則 somuni;u.訟示す:&質マ$2メンJ-DAgg」が記述3 gg」FE43れており iniamssの5 示してい4 nia+ za'sに依存しておら。そのために 現在及びevex--Xを理解 しーーシップ[Aたし,耶0Bma44ふぅに5]nt-12 th ""を達成すること2+9GBA?80A8腐壯勩出し,aRTペきであ

③人産の参画LA瘤の参加 すべての/ &の人引3asiaにとって根本的要素であ"-その全面的な参画に よって、紘牆の使益のため62その佹力を洁飛することが可龍となる。 ブロセスアブ aE1UR 5BBLgs-on7aセスとして運営管理されると 望まれ る結果 :よく#45h6.

5マネジメントへのシステムアプローチ
exonar67パスを一つのシステムとして,M確にし、理解し。運営 管理すること,.auane標を効果的で効率よく達成することに寄与す5 紘an結合的パフォ→ンスnaiena簽を組織の永遠の目標とすべきでぁ

⑦ 意志決定への事実に基づくアプローチ(意志決定における事実に基づくアブ めな意志決鄮2,デ=,及び情報の分析に基づいている. 供 者との互恵闡係 EIRAU4,0SACauRZL.ており.RnOLeMAは両者の価値創造 を高める,